コラム
意外にオイシイ? 「誰も損しない」駅から歩こうイベント:杉山淳一の時事日想(5/5 ページ)
「駅からハイキング」「駅からウォーク」といったイベントをご存じだろうか。鉄道会社が沿線の人々を対象に参加を呼びかけているものだが、意外とこれ……もうかるようだ。
ユニークな取り組みとしては近畿日本鉄道が会員制(年間1000円)のハイキングクラブ「あみま倶楽部」を提供している。踏破コースに応じて近鉄グループ商品券がもらえるので、歩くほどモトが取れる。また、関東の私鉄、西武・京王・小田急・東急は「私鉄リレーウォーク」を開催。放射状に路線を伸ばしている関東の路線網の特徴を生かし、別の鉄道会社の2駅を結ぶコースを設定した。
あまり目立たないが、多くの鉄道会社で観光案内を掲載し「駅から歩こう系イベント」を実施していた。ポイント制度や会員制などの付加価値もさまざま。空いている電車の活用方法、沿線の魅力発掘など、眠っている資産を活用する取り組みである。インターネットで発信すれば、もっと広範囲から集客できそうだし、地元の中学や高校と協業して、社会参加と郷土学習を兼ねてもよさそうだ。集客に悩む地方鉄道にとって、なにかヒントになるかもしれない。
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