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“金太郎あめ”車両が、増えた理由どうなる? 鉄道の未来(おまけ)(4/6 ページ)

鉄道に乗っていて「どの車両も同じようなものだなあ」と感じたことがある人もいるのでは。なぜ特徴のない車両が増えてきたのか。その背景について、共同通信の大塚記者と時事日想で連載をしている杉山氏が語り合った。

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杉山:そうですね。でも一般の人は分かるのかな。僕らはパッと見て分かっちゃいますが(笑)。

 それはともかく、コスト削減はやはり必然でしょう。どこにお金をかけるかというと、通勤車両の場合はとくに性能で、尼崎脱線事故以降は強度も重視されています。残念ながら、面白みの部分は後回しになってしまいますね。「コストがかからなくても面白いデザインになる」という工夫をデザイナーに期待したいです。

大塚:杉山さんがいま指摘された尼崎脱線事故が発生した当時、私は勤務先の大阪支社経済部で鉄道を担当していて、107人もの死者が出る重大事故を起こしたJR西日本の責任を厳しく追及していました。脱線後にマンションと水平方向に衝突した車両がつぶれ、多くの犠牲者が出たことを問題視し、客室内の乗客を保護するには車両の縦方向だけではなく、横方向の強度も確保すべきだと記事や記者会見を通じて強調しました。

 その主張をほかの新聞なども報じるようになり、JR西日本は強度向上を図った車両を2008年7月から投入するようになりました。車両を設計する上で、強度向上を含めた安全対策の強化は至上命令と言えます。ただ、省エネルギー化と安全性向上、コスト削減といった多くの条件が課されているのも一因かもしれませんが、残念ながら車両の“金太郎あめ”化が進んでいますね。

鉄道会社は車両に工夫を

大塚:経済界では多様な人材を生かす「ダイバーシティ」の必要性が唱えられていますが、鉄道車両においてもダイバーシティが必要なのではないでしょうか。長野電鉄では、JR東日本の首都圏と成田空港を結ぶ特急「成田エクスプレス」に使っていた旧253系の現「スノーモンキー」と、小田急電鉄が今年3月に退役させた旧「HiSE」10000形の現「ゆけむり」が健在で、大人は100円、子どもならば50円の特急料金を支払えば手軽に乗車できます。

長野電鉄の3500系(左)と長野電鉄のゆけむり(撮影:杉山淳一)

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