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コラム

南相馬市で中華そばを食べ、住民の“絆”を感じる相場英雄の時事日想・南相馬編(3)(4/4 ページ)

震災から1年以上が経過した。しかし4月まで立ち入りが制限されていた南相馬市の小高区は、あの日から時間が止まったまま。厳しい現実と直面する中で、一カ所だけ心和らぐ場所があった。そこは……。

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 先に触れた拙著は、福島県会津地方を皮切りに、1タイトルずつ6県を全て回った。本来であれば、福島の浜通りから「シーズン2」の制作に入る予定だった。この際、浪江の太焼きそばや野馬追を本編中に扱う腹積もりだったのだ。

 同シリーズ最新作は、今年中に三陸編として刊行する。この中に浜通りの名店をモデルにした地元食堂を登場させることを秘かに決めた。

 勘定を済ませると、店主とスタッフ全員が大きな声でありがとうと応えてくれた。

 震災発生から1年以上が経過した。放射線の問題、瓦礫処理の方策を巡り、日本が二分されるような感覚を覚え続けてきた。震災直後、盛んに皆が口にした「絆」という言葉が、空々しく、大嫌いになった。

 ただ、この小さな食堂には、「絆」が目に見える形で存在していた。

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