利用者の7割が男性! オフィスグリコの仕掛け人に聞く:嶋田淑之の「この人に逢いたい!」(4/4 ページ)
東日本大震災で備蓄としての役割も注目されるようになった置き菓子。その市場のパイオニアで大きなシェアを持つのが、江崎グリコのオフィスグリコだ。事業を立ち上げた相川昌也さんに、普及の過程と現状を尋ねた。
東日本大震災で変化したビジネス環境
2011年の東日本大震災はさまざまな企業の経営環境を大きく変えたが、オフィスグリコもそれは同様だったという。
「3・11以降はリフレッシュ用の置き菓子というだけではなく、災害発生時に向けての備蓄という意味が含まれるようになりました」と相川さんは変化を指摘する。
24個入りの小ロットではあるが、それでもいざという時には、最低限の小腹満たしは可能になるということのようだ。企業はもちろんだが、帰宅困難者対策として、官公庁でもオフィスグリコの受け入れがどんどん進んでいるという。その一方、古いタイプの企業だけは社内の統制・規律が厳しく、今でもなかなか入っていくのが難しいとのこと。
そうした例外はあるにせよ、環境変化が急速に進んでいるのは間違いないところで、相川さんは次の展開を指向している。
「リフレッシュボックスに占める弊社商品の比率は実は30%程度であり、自社製品ではまかない切れない部分は他社製品で補うことで顧客ニーズに細やかに対応し、ボックスの魅力を高めるようにしています。
今後は、カテゴリーをよりいっそう充実させるために、例えばたい焼き、唐揚げ、ポテトなどをレンジで温めれば食べられるように、冷凍して出そうかなどと検討しています。さらには、ラーメン、ゼリー系、栄養ドリンクなども考えています」
ちなみに、オフィスグリコでは地域限定商品は置かない方針で、全国一律の品揃えを基本にしているという。
展開するエリアに関しても、今は広島圏への進出を進めており、さらにエリア拡大を図っていくようだ。日本全国の職場に、オフィスグリコのリフレッシュボックスが置かれる日も遠くないかもしれない。400万社以上と言われる日本の企業にどこまで食い込めるか、また海外の進出もできるのか。その先行きが楽しみなところである。
嶋田淑之(しまだ ひでゆき)
1956年福岡県生まれ、東京大学文学部卒。大手電機メーカー、経営コンサルティング会社勤務を経て、現在は自由が丘産能短大・講師、文筆家、戦略経営協会・理事・事務局長。企業の「経営革新」、ビジネスパーソンの「自己革新」を主要なテーマに、戦略経営の視点から、フジサンケイビジネスアイ、毎日コミュニケーションズなどに連載記事を執筆中。主要著書として、「Google なぜグーグルは創業6年で世界企業になったのか」、「43の図表でわかる戦略経営」、「ヤマハ発動機の経営革新」などがある。趣味は、クラシック音楽、美術、スキー、ハワイぶらぶら旅など。
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