“維持費”があなたの自由を妨げる:ちきりんの“社会派”で行こう!(2/2 ページ)
何も持たずに生まれてきた私たち。その時のように自由になることは一見たやすいことのようにも思えますが、生きていく過程で積み重なってきた維持費がそれを簡単にはできなくさせているようです。
企業や国も維持費に悩まされる
仕事を辞めると言った時、子ども3人を養う知人から「働かないとか信じられない。うらやましすぎる」と言われました。その時は、「宝の維持費が高いのは当たり前」と答えたちきりんですが、持っているものがどんなに貴重なモノであれ、その維持費を考えると目まいしそうになる人は少なくないでしょう。
それは企業もまったく同じです。毎年毎年採用してきた優秀な(優秀だった)社員たち、始めてしまった多くの事業、建ててしまった立派な本社や最新鋭の工場、進出してしまった多くの海外拠点。こういったものを、持てば持つほど動けなくなるし、それらを維持するだけでも毎年の必要経費は目の玉が飛び出るほど高い。
日本という国も同じです。手厚い福祉に整った医療体制、当然のように大半の人が進学する高等教育機関、大量の議員に公務員、国中を網羅する鉄道や道路、空港、日本中に存在する美術館や音楽ホール……。
あまりにも多くのものを抱えてしまって動けない人、組織、団体、企業、国。維持費や固定費に蝕まれる、私たちの自由。それらの維持費のために日々を働く。そのことに生き甲斐や存在意義を見いだせと言われている私たちの生活。
自分の持っているものに、自分が苦労してやっと手に入れたものに、縛られて生きる私たち。
大変です。
そんじゃーね。
著者プロフィール:ちきりん
兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。著書に『自分のアタマで考えよう』『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』『社会派ちきりんの世界を歩いて考えよう!』がある。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN」。
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