コラム
人事部が最優先に考えるべきことは何なのか?(2/2 ページ)
人事とは、環境の変化に応じて組織や人材を最適化する機能であり、まさに今、人事部の時代認識が問われていると言ってよい。
「中高年社員の活用」を最優先課題にするべき
間もなく65歳定年が義務付けられるから、このまま放置すれば、中高年社員の処遇はさらに悩ましい問題になる。法的には解雇も不利益変更もできないから、中高年を活用・活性化するしか方法はない。そしてそれは、従来のような役職や給与の制度変更だけでは不可能なことくらい、人事担当者なら十分に分かっているはずだ。
それなのに「中高年社員の活用」が重要課題でないというのは、見てみぬふりか単なる先送りとしか言いようがない。また、上位に上がっている、「優秀な人材の確保」「社員の教育・能力開発」「社員のモチベーションアップ」だって、中高年社員をうまく活用できるかどうかに関係してくるだろう。
企業人事は「中高年社員の活用」を最重要課題に挙げるべきだ。そもそも、「優秀な人材の確保」「社員の教育・能力開発」「社員のモチベーションアップ」といった、何十年も前から掲げられているような人事の重要ミッションを、時代が変わっても相変わらず同じ順番で掲げ続けていてよいのだろうか。
人事とは、環境の変化に応じて組織や人材を最適化する機能であり、まさに今、人事部の時代認識が問われていると言ってよい。「中高年社員の活用」を最優先課題とし、処遇システムの改定はもちろん、適性や能力に応じた配置の見直し、再生・活性化に向けた教育研修や職場改善などに、積極的に取り組むのが今の時代の人事部のあるべき姿ではないかと思う。(川口雅裕)
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