コラム
こんなときに困るはず! 鉄道路線のキラキラネーム:杉山淳一の時事日想(5/5 ページ)
本当にそのネーミングでいいの? と感じさせる会社名と路線名が誕生した。会社名は「えちごトキめき鉄道」で、路線名は「日本海ひすいライン」「妙高はねうまライン」。奇抜な名前にすれば、事故を起こしたときなどに困るのではないだろうか。
キラキラ路線名を正式名称にしてはいけない
「えちごトキめき鉄道株式会社」の難点は、その名が正式名称だからである。「日本海ひすいライン」も「妙高はねうまライン」も正式名称だ。愛称ではない。良い場面だけならいいが、ネガティブな事象が起きたらどうするだろう。その時だけ「旧北陸本線」「旧信越本線」とでもいうつもりか。しかし、北陸本線はJR西日本が、信越本線はJR東日本が路線名を使い続けている。「都合の悪い時だけウチと同じような路線名を使わないでほしい」と両社は困惑するに違いない。
隣の路線との区別をつけたい。だからこそ新路線名が必要だった。それでも、もうすこし穏やかな、どんな場面でも使える路線名にすべきだ。冠婚葬祭の案内地図に書き入れづらい路線名で、地元の人々は困らないか。ほとんどの人々はクルマを使うので「鉄道の名前などどうでもいい」ということか。まさか、名付けた理由に「ちょっとヘンかもしれないけれど、利用者がいないから影響はない」という気持ちがあるのか。
子育ても鉄道路線もお金がかかる。赤字覚悟だし、夢を持ちたい。「せめて夢のある名前を付けたい」という気持ちも分かる。しかし、新しい鉄道会社が、その名前のせいで地元や自治体から無視されたり、イジメられたりしないか。そのせいで廃線にならないか、心から心配である。
関連記事
- 鉄道ファンは悩ましい存在……鉄道会社がそう感じるワケ
SL、ブルートレイン、鉄道オタク現象など、いくつかの成長期を経て鉄道趣味は安定期に入った。しかしコミックやアニメと違い、鉄道ファンは鉄道会社にとって悩ましい存在だ。その理由は……。 - 「青春18きっぷ」が存続している理由
鉄道ファンでなくても「青春18きっぷ」を利用したことがある人は多いはず。今年で30周年を迎えるこのきっぷ、なぜここまで存続したのだろうか。その理由に迫った。 - なぜ新幹線は飛行機に“勝てた”のか
鉄道の未来は厳しい。人口減で需要が減少するなか、格安航空会社が台頭してきた。かつて経験したことがない競争に対し、鉄道会社はどのような手を打つべきなのか。鉄道事情に詳しい、共同通信の大塚記者と時事日想で連載をしている杉山氏が語り合った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.