コラム
裏メニュー「周遊きっぷ」のメリットとデメリット:杉山淳一の時事日想(4/4 ページ)
廃止の噂がつきまとう「青春18きっぷ」が、この夏も無事に発売された。ホッとした鉄道ファン、旅行ファンも多いことだろう。しかし、存続の危機に瀕したきっぷは他にもある。地域ごとに乗り放題の「周遊きっぷ」だ。
買う方も面倒だけど残したい
もっとも、こうした複雑な条件設定は、駅の窓口のシステムに織り込み済みだ。買う側が利用したいルートを指定すれば、自動的に運賃も有効期間も計算される。しかし、そもそも「買う側がルートを設計する」というスタイルは、よほどの旅行好き以外には面倒な事かもしれない。「早くて便利なルートはこちらです、どうぞ」というきっぷのほうが便利ともいえる。
売る側も面倒らしい。実際に駅の窓口に周遊きっぷを買いに行くと、窓口の係員はやおら立ち上がり、奥から「周遊きっぷ販売規定」のような小冊子を持って来て、ひとつひとつ規定を確認しながら発券作業をはじめる。
こんな状態だから、私が周遊きっぷを買う時は、窓口が混む時間帯を避ける。または、ルートを書いたメモを預けておき、手すきの時に発券してもらい、あとで引き取らせていただく。
「周遊きっぷ」は買う側も売る側も、なんとなく気を使ってしまうのだ。
それでも「ゆき券」「かえり券」の「経路選択の自由」は魅力的だし、ゾーン内では在来線特急に乗れるからありがたい。青春18きっぷと同じく、残ってほしいきっぷである。だから積極的に買いたい。しかし、寝台特急サンライズで出発する山陰方面の旅を計画し時刻表を引きつつ日程を決め、きっぷを選ぶ段階になって気づいた。
「山陰ゾーン」が2012年3月末で廃止されていたのだ。
困った。
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