キャリア女性によるキャリア女性のためのワンピース――「kay me」のスピード感:それゆけ! カナモリさん(4/4 ページ)
コンサルタント出身、毛見純子さんのブランド「kay me」が、静かに話題を呼んでいる。kay meの商品は、働く女性のためのワンピースが中心。Facebookなどのクチコミで顧客を広げ急成長、わずか1年で銀座の中心に常設店を構えた毛見さんにインタビューを行った。
「マーケティング3.0」の実現
フィリップ・コトラーは、これからのマーケティングは「顧客との共創」が重要であるとして、「マーケティング3.0」を著した。その実現された姿が「kay me」では見て取れる。
銀座4丁目の店舗内だけでなく、多くの購入客とはメールのやりとりが続いている。その中で、他の人が「kay me」をステキに着こなしている姿を見た情報や、自分が着て人から褒められた話などが寄せられ、商品の柄やパターン、ディテールなど、より売れる商品のヒントが得られている。また、生地の柄選びにおいては、大手企業の秘書課を訪れ秘書全員に人気投票をしてもらい感想を聞いたこともあるという。
「試着便」も新たな使われ方をしはじめた。熱心なファンである顧客が、地方の自宅で自主的に友人を集めて「試着会」を開くようになってきているというのである。それは海外在住の顧客の間でも広まりつつあり、「kay me」ブランドは顧客の手によって海を渡るようになってきたのだ。
「スピード経営」「顧客視点」「マーケティングの整合性」。ビジネスの課題としてはよく上がることではあるが、その実現は容易ではない。それをスピーディーに、軽やかにやってのけている毛見純子とブランド「kay me」。その原点は、「自分自身も一人のターゲット顧客として、顧客視点で考えること」にある。インタビューの最後に、「kay meを一番好きな顧客は誰か」と尋ねたところ、「それは自分だと思う」と即座に回答があった。
画家のミレーは「人を感動させるためには、まず自らが感動しなくてはならない」という言葉を遺した。自らの商品・ビジネスへの愛、そして顧客へ向けた視点を、まだ小さなブランドから学ぶことは多いといえるだろう。
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