死後にHDDデータを消去するソフト、愛用者は5〜10万人!?:古田雄介の死とインターネット(2/3 ページ)
デジタルの世界にも万一に備える生前準備サービスは多彩にあるが、現時点でどれだけのニーズがあるのか。オンラインとオフラインの両面を調べた。
16年間運営している「Virtual Memorials」の“お墓”は3万超
会員の多さだけでなく、歴史の古さにも注目したい。海外にはインターネット黎明期から10年以上続いている古参のサービスもある。代表例は、1996年にサービスを開始した「Virtual Memorials」。Virtual Memorialsは、故人の写真や文章などをまとめて遺族や友人たちで共有するためのソーシャルメディアで、物理的な距離に縛られない哀悼の場として広く利用されてきた。
それらの運営にかかる手間は、スタッフがボランティアで支え続けてきた。2年前から1件あたり55ドルの初期費用が必要になったが、これはサーバー維持などの必要経費に消える。サーバーは米国内に3拠点あり、“お墓”を維持する万全の体制を敷いているのだ。
それでも同社は「オンライン上のデータの保証はできません。我々スタッフの死後も子孫にWebサイトを引き継がせますが、それでも“永遠”は約束できません。メモリアルページを印刷したりCD-ROMに保存したりして、各人でバックアップすることをおすすめします」と念を押す。
現時点のメモリアルページ数は3万超。この数字は「3万人超のユーザー」ではなく、「3万超のお墓」に近いことに注意したい。1つのお墓に複数の親類縁者、友人が集まることもあり、利用者数はその何倍にも膨らむ。Virtual Memorialsの運営は、1日100件以上の問い合わせメールを受け取ることもざらで、内容も「写真をアップする方法を教えて」といった初歩的なものから、「もっと別の哀悼の手段はない?」という即答しづらいものまで多岐に渡る。
そして、それは前世紀から続いている。すでに哀悼の場として、定着したといっても過言ではないだろう。
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