バブルで高騰した“恋愛のレート”は下がる? 婚活の行方を考える:ちきりんの“社会派”で行こう!(3/3 ページ)
堀井憲一郎氏の『若者殺しの時代』では、「1980年代に女の子が恋愛のレートを上げて、結果としてみんな不幸になった」と書かれています。それを読んだちきりんさんは、「今の婚活はその揺り戻しかもしれない」と推測しました。
婚活や就活市場の行方は?
さて、1980年代と1990年代のプライシングの間違いに気がついて、高値修正を始めたのが2000年代……と考えると、「次の10年くらいは婚活時代が続くけど、その後は“婚活世代、大量離婚の時代”がくるかもね」とも思えてきます。
婚活で「とにかくレートを下げて結婚しましょう!」みたいことをやっていると、当然に揺り戻しがくると思うのです。「ディールが成立するところまで、レートを下げて売買成立!」みたいなことをやって成立させても、結婚は「成立したら終わり!」じゃありません。
女の子がお姫様になる時代より以前、女性の就職は圧倒的に難しく、単独で食べていく方法は限られていました。また、女性が結婚しないことへの社会のプレッシャーも今とは比べものにならないくらい大きかったので、女性たちはみんな、ごく低いレートで結婚したのです。
そういった世代でも、いまや“熟年離婚”に踏み切る人が増えています。現代の女性で、「とりあえず“ディール成立レート”まで下げます!」みたいなことをして成立した取引が、うまく続くとは思えません。
実は就活も同じです。氷河期再来で、またもや「内定がもらえるところまで、いくらでもレートを下げます!」みたいな戦いになってます。入れる会社が見つかるまでレートを下げて、ようやく就職したとしても、それって本当に続くんでしょうか? 結婚同様、就活でも内定はゴールではなく、入り口に過ぎません。
前回の氷河期後半に社会人になった人の中には、その直後に数年の好景気がやってきた時、第2新卒として“リベンジ転職”をした人がたくさんいました。でもずっと不況が続けば、リベンジなんて不可能です。だからといって一生そこで我慢できるのでしょうか?
婚活も就活も、市場全体でレートが上がったり下がったりしており、どの世代も市場の動きに翻弄されているように思えます。
というわけで、
1980年代:暴騰
1990年代:高値安定
2000年代:下落
2010年代:投げ売り
2020年代:大規模な調整局面
次の10年は結婚も就活も、レート投げ売り気味の時代に突入するのかも……。
そんじゃーね。
著者プロフィール:ちきりん
兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。著書に『自分のアタマで考えよう』『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』『社会派ちきりんの世界を歩いて考えよう!』がある。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN」。
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