「高齢者=ネット使えない人」ってホントですか?(2/2 ページ)
マーケティングを考える時の重要な視点がPEST。そのポイントは「今どうなのか」ではなく「この先どうなるか」を考えることだ。では、これからの高齢者は、どうなっていくだろうか?
今どき60代はネットをばんばん使う
このサービスで最も恩恵を受けるのは誰だろうか。毎日の買い物が面倒な人たちである。子育て主婦やワーキングママ、さらにはリタイアした団塊世代の人たちも有望なターゲットとなるだろう。……という話をすると、次のように反論されることがよくある。
「主婦層は分かるとしても、60代の人がネットを使うでしょうか?」
実は今どきの60代は、結構ネットに慣れている。引退するまでの何年か、会社で仕事をするためにPCを使わされている。だから決して好きではないかもしれないが、それなりには使える。電通総研の調査によれば大都市圏でのネット利用率は60代70.2%、70代26.3%になるという。
彼らにとってiPadは実に相性がいい端末だ。ケータイでは画面が小さいために見づらいけれど、iPadなら見やすい。PCはキーボードを使うのが面倒だが、iPadなら直感的に操作できる。子どもが喜ぶiPadは、お年寄りも喜ぶデバイスなのだ。
10年後の60代はどうなる?
マーケティングのPEST※を考えるときに、最も重要なのは時間軸を意識することだ。5年先、10年先をどう読むか。未来を予測するのは、決して簡単なことではない。けれども、ほぼ確定している未来もある。人口推移である。
10年後、60歳になる人が何人いるかは、現時点でほぼ分かっている。今、50歳の人たちが、10年後に60歳となるわけだ。ということは、10年後の60歳マーケットがどのようになるかは、今の50代を見れば予想がつくだろう。
そう考えればGMS、いわゆるスーパーマーケットが、今後どう転換すべきかも見えてくるのではないか。インターネットがさらに高速化し、使いやすいデバイスがより進化した上で、ネットで買物をするのが当たり前の人たちが、消費者の大多数を占める時、流通はどのような姿になるのか。
それこそ、地球上にある「AからZまで」の品物すべてを揃える企業が、唯一自社開発した携帯端末を使ってやろうとしていること、ではないだろうか。(竹林篤実)
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