今後原発をどうする? 廃止派6割超も進め方で意見が割れる
中長期的なエネルギー政策で、2030年の発電量に占める原発の比率が議論されている。国民の多くは原発廃止を望んでいるが、廃止の進め方については大きく意見が分かれているようだ。中央調査社調べ。
8月末をめどに政府が方向性を示す予定の中長期的なエネルギー政策。2030年の発電量に占める原発の比率がテーマとなっているが、国民は原発についてどのように考えているのだろうか。
中央調査社の調査によると、原子力発電の安全性に対する意識について「まったく安全でない」を0点、「中間」を5点、「十分安全である」を10点とした10点満点方式で答えてもらうと、「0点」が23.3%と最も多く、「5点」が21.0%、「2点」が14.3%、「3点」が13.8%で続いた。6点以上の“安全評価”は8.6%にとどまっているのに対し、4点以下の“危険評価”は66.9%。平均は2.81点だった。
0点を「強い危険評価」、1〜2点を「やや強い危険評価」、3〜4点を「弱い危険評価」、5点を「中間評価」と分けた構成比をみると、「強い危険評価」(23.3%)、「やや強い危険評価」(23.0%)、「弱い危険評価」(20.6%)、「中間評価」(21.0%)の4グループに大きく分かれていた。
男女別にみると男性より女性の方が危険評価の割合が高く、年代別にみると40代が最も高かった。
今後、原発はどうするべき?
原子力発電の今後のあり方に対する意識について、「速やかに廃止」を0点、「現状維持(中間)」を5点、「継続推進」を10点とした10点満点方式で答えてもらうと、「5点」が21.8%と最も多く、「0点」が20.6%、「3点」が16.8%、「2点」が12.5%で続いた。こちらの設問でも、6点以上の“継続推進派”は8.7%にとどまっているのに対し、4点以下の“廃止派”は66.4%。平均は3.04点だった。
0点を「強い廃止派」、1〜2点を「やや強い廃止派」、3〜4点を「弱い廃止派」、5点を「中間派」と分けた構成比をみると、こちらでも「強い廃止派」(20.6%)、「やや強い廃止派」(19.2%)、「弱い廃止派」(26.6%)、「中間派」(21.8%)の4グループに分かれた。
男女年代別にみると、男性では40〜50代、女性では30〜60代で廃止派の割合が高く、それぞれ7割を超えていた。
面接による調査で、対象は20歳以上の男女1272人。調査期間は5月10日から20日。
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