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「プーチンを追い出して!」――マリア様にお願いした女性バンドに世界を学べ伊吹太歩の世界の歩き方(1/3 ページ)

プーチン大統領を揶揄したロシアの女性パンクバンド「プッシー・ライオット」が禁錮2年の実刑判決を受けた。これ以外にも、ミュージシャンにまつわる政治的・国際情勢的なニュースというのは枚挙に暇がない。

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著者プロフィール:伊吹太歩

世界のカルチャーから政治、エンタメまで幅広く取材し、夕刊紙を中心に週刊誌や月刊誌などで活躍するライター。


 2012年8月13日、ロシアのパンクバンド「プッシー・ライオット」のメンバーである女性3人が「暴徒罪」で禁錮2年の実刑判決を言い渡された。2012年2月に、モスクワにあるロシア正教会の総本山、救世主キリスト大聖堂で「聖母マリア様、プーチンを追い出してください!」と歌ったからだ。

プッシー・ライオットのパフォーマンス

 プッシー・ライオットには、世界の有名ミュージシャンたちから支持の声が上がった。マドンナはロシアでのコンサートですぐにメンバーを釈放するよう発言し、ポール・マッカートニーは「文明世界では多くが自分たちの意見を声にあげることが許されている」という声明を発表した。

 結局、彼らの支持もむなしくメンバー3人は禁固刑を言い渡された。ウラジミール・プーチン大統領はこのバンドに対して「厳しすぎる」判決は受けるべきではないとのコメントを出していたが、実際にはプーチンが個人的に判決に署名したといわれている。

 プッシー・ライオットのメッセージは、彼女らが逮捕されたからこそ世界中に知れ渡ったという事実は否定できない。それを計算した上でゲリラ的なライブを行ったのかどうかは分からないが、少なくともメッセージは世界に伝わった。

 しかも、大統領に返り咲いたプーチンの国民に対する強硬な言論弾圧や反体制派に対する扱いの実情も広く再確認されることになった。また影響力を維持するために、ロシア正教が国民を弾圧する政界と蜜月であることに対する不満も、今回の騒動の背景にはある。それでも2年の実刑は重すぎるが……。

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