コラム
最大のセキュリティホールは“自信過剰”であること(2/2 ページ)
どんなに優れたウイルス対策ソフトがあったとしても、現場の人間の意識が低いと、簡単にセキュリティが破られてしまう。最大のセキュリティホールは「人の弱さ」にあると言えるのかもしれません。
「自信過剰バイアス」はなぜ生まれるのか
さて、佐藤氏が「人の弱さ」と指摘する「自分だけは大丈夫!」という意識は、行動経済学では「自信過剰バイアス」(Overconfidence bias)と呼ばれています。
このバイアスは、「自分は他人と違う存在でありたい」という欲求が根底にあると考えられていますが、現実以上に自分が周囲の情報を十分に把握していると考え、また、自分の能力に現実以上に自信を持つ傾向のことです。
自信過剰バイアスは、言い換えると「根拠なき自信」(笑)と呼んでもよく、起業するときなどには、大きなリスクを積極的に取りに行く原動力ともなりえます。
しかし、セキュリティ対策においては、「自信過剰バイアス」は、大きな被害をもたらしてしまう、やっかいな意識です。
振り込め詐欺でも、「自分は絶対に引っかからない」と「自信過剰バイアス」の強い人ほど、簡単にだまされているのです。
他のあらゆることにも共通することですが、システムの整備だけで万全ということは決してありません。最後は個々人の「意識・行動」次第であることを忘れてはいけないのです。
「自信過剰バイアス」は強弱はあれ、誰もが持っているもの。これによって大変な失敗をしないためには、「ひょっとしたら、自分の今の考え方・行動は間違ってるかもしれない……」(いつでも自分が正しいということはない)と「健全な危機感・不安感」を常に持つように心がけておくべきでしょう。(松尾順)
※佐藤元彦氏については、日経産業新聞(2012年8月30日)の記事から引用しました。
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