インターネットを墓場に持ち込むと、望まないものだけ地上に戻ってくる?:古田雄介の死とインターネット(3/3 ページ)
自分が死んだとき、遺族に直接的な迷惑をかけるものがネットに残る場合もある。どうすれば防げるのか、相続の対象としてのネットの資産と負債をみてみよう。
PCで入力できるデジタル相続ノートもある
閲覧性の高さから手書きに重点を置くスタンスと反対に、入力性や更新の手間を重視してデジタル化した相続ノートもある。端的な例は、デネットが2012年7月に売り出した「家系図・遺言・相続ノート」だ。Windows 7/Vista/XPに対応するPCソフトで、価格は3990円となる。同社は年間1000〜2000本を目標に売り出しており、滑り出しは順調という。
ターゲット層は50代以上の男性と高めながら、構成はコクヨの「エンディングノート<もしもの時に役立つノート>」に近く、親族や葬儀のことに加え、電子マネーやWebサイトのID、PCやISPの情報などをまとめられる。JPEGやBMP、PNG画像を貼り付けられるので、遺影用の写真などを一緒に保存するといった使い方も可能だ。
紙の相続ノートと異なり、項目数に事実上制限がなく、無駄な余白が発生しないといったメリットがあるが、ユーザーの死後や緊急時に最低限PCが扱える家族の存在が欠かせない点は十分に考慮したい。条件を満たす環境なら、もしもの時はこのソフトを起動するように家族に伝えておけばいい。ヒント付きの合い言葉でもログインできるので、パスワードを共有しなくとも、家族にだけ通じる言葉を鍵にできる。
インターネットに残したものを思い通りに処理するなら、きちんと書き込んだ相続ノートがあればいい。そのために自分と自分の環境にあった相続ノートを見定めて、なるべく早めに導入することをおすすめしたい。そして次回は、定額制の有料サービスにおける、ユーザーが亡くなったあとの処理の現実を追いかける。
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