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会社が大きくなって、手にしたモノ、失ったモノ新連載・佐々木俊尚×松井博 グローバル化と幸福の怪しい関係(3/5 ページ)

企業が巨大化している――。背景には「グローバル化に対応するため」といった狙いがあるのだが、こうした流れは私たちの生活にどのような影響を及ぼすのか。ジャーナリストの佐々木俊尚氏とアップルで働いてきた松井博氏が語り合った。

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松井:ですね。現在、私が運営している小さな会社でも、給与関係や401K(確定拠出型年金制度)といったものを、すべて代行してくれるサービスがあります。私がやることといえば、従業員が働いた時間を入力するだけ。あとは税金の申告なども含めて、すべてやってくれるんですよ。

 そういう会社のサービスを、私が運営している小さな会社からアップルのような巨大企業までが利用している。これまでであれば、会社の近くにある小さな会計事務所などでそうした仕事をお願いしていたはず。しかし代行サービスが普及していけば、小さな会計事務所で働いていた人たちは、どうなってしまうんだろう――。こうしたことも気になってしまうんですよ。

佐々木:これまで管理部門は内製でやってきたのに、いまは外部に委託するところが増えてきましたよね。

松井:小さいことから大きなことまでが、グローバル化している。それが私にとっては、衝撃でしたね。

佐々木:パナソニックは本社の人員を7000人減らすと発表しました。これは社長の大英断で、今後は数百人規模に減らすそうです。

松井:パナソニックの選択は正しいと思うのですが、その7000人はどこに行くのか。これもグローバル化の弊害なのかもしれません。

佐々木:パナソニックは本社の人間を減らし、小さなチームをたくさんつくっていくそうです。でもそうした体制に耐えられる人材って、一部しかいませんよね。これまで大きな組織の中で、上から降ってきた仕事を粛々とこなしてきたようなオジサンたちは「これからは小さなチームでやれ!」と言われても、できないのではないでしょうか。

松井:経験したことがありませんからね。

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