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地方鉄道が、バスやトラックに負ける日杉山淳一の時事日想(1/5 ページ)

JR西日本は10月から、ローカル線「三江線」の増発実験を実施する。ただし、増発する便は列車ではなく「バス」だ。これは鉄道廃止の布石だろうか。そこにローカル線の厳しい実情がうかがえる。

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杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP、誠Styleで「杉山淳一の +R Style」を連載している。


 ローカル線の不便さは、タマゴが先かニワトリが先か、という問題に似ている。列車本数が少ないから乗客が少ないのか、乗客が見込めないから列車を走らせないのか。

 その問題に決着をつける手法として、列車増発の社会実験がある。沿線自治体が費用を一部負担して、一定期間で臨時列車を走らせる。最近では富山市がJR西日本の高山本線と富山地方鉄道で実施し、新潟市も越後線で実施している。増発で乗客が増えれば臨時列車を存続。効果がなければ増発は取りやめ。いわば路線の真価を問う“最終試験”であり、不合格だった場合は路線の存続自体の検討に入るかもしれない。

 その増発実験を、三江線でも実施するという。ただし、これまでの増発実験とは趣が違う。増発する便は列車ではなく、バスだからだ。

JRグループ最下位のローカル線「三江線」とは

 三江線は、広島県北部山中の三次市と、島根県沿岸の江津市を結ぶ鉄道路線だ。全長108.1キロメートル。所要時間は3時間20分。全線を直通する列車は下り2本、上り1本のみ。区間列車を乗り継いでも、端から端まで行けるチャンスは1日3回しかない。使用する車両は小型のディーゼルカー1両だ。


三江線の位置(出典:Google マップ)
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