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地方鉄道が、バスやトラックに負ける日杉山淳一の時事日想(5/5 ページ)

JR西日本は10月から、ローカル線「三江線」の増発実験を実施する。ただし、増発する便は列車ではなく「バス」だ。これは鉄道廃止の布石だろうか。そこにローカル線の厳しい実情がうかがえる。

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 つまり、バス増発実験が成功したとしても、それは「三江線が便利になった」ではなく「バスのほうが便利だ」という結果にしかならない。直接競合する他社の路線バスもないため、JR西日本のバス転換に異議を唱える声は少ないだろう。

 かつて、鉄道が水運を奪ったように、鉄道の役目はバスやトラックに奪われつつある。沿線の人々の目的は「移動すること」であり「列車に乗ること」ではない。鉄道好きにとっては誠に残念だが、地方交通において鉄道が主役という時代は終わった。各地でローカル線存続問題に取り組む人々は「その路線が鉄道であるべき理由」を真剣に検討する必要がある。


黒が現在の列車ダイヤ(市販の時刻表を元に、ダイヤ描画ツール「OuDia」で作成)。赤が増発バスのダイヤ (JR西日本のプレスリリースを元に作成)。運行本数が大幅に増えて便利になるが、すべてを列車で運行できない
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