コラム
“過熱報道”を避けるために、封印していたネタを公開する:相場英雄の時事日想(4/4 ページ)
大震災の発生以降、メディアによる取材が過熱した。メディアが1つのテーマに集中すれば、取材される側は過度なストレスにさらされる。筆者の相場氏はこうした事態を避けるために、あるネタを封印していた。そのネタとは……。
取材する側のマインド
最後に、先に触れた『おもかげ復元師』に戻る。
笹原氏の活動に関し、映像メディアで唯一取材を許可されたのがNHK大阪のカメラマンだ。再び笹原氏の言葉を引用する。
どうしてNHKだけお引き受けしたのか。それには理由があります。カメラマンさんの誠意に動かされたのでした。(中略)三週間にわたってカメラを置いて被災者に寄り添い、安置所でもたくさんのご遺族から頼られ、自らが信頼を獲得して撮影を許可された。あの唯一のドキュメンタリー映像は、そういう方が撮った映像です。
事件・事故の現場は日々変わる。だが、取材する側のマインドは、変わってはならない。
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