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コラム

「のんびりゆったり」はローカル鉄道を潰す杉山淳一の時事日想(6/6 ページ)

大都市に住む人にとってローカル線といえば、「都会の忙しさを離れてのんびり」というイメージだろう。それは「旅」の発想であって「生活」の発想ではない。ローカル鉄道の再生には「生活路線」としてどうあるべきかを考えなくてはいけない。

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 クルマの平均速度が最高で時速30キロメートルだとすれば、列車の表定速度はそれより10キロ以上高くしなくてはいけない。そのためには、列車は駅から出たら、次の駅までは可能なかぎり最高時速80キロメートル以上を維持する必要がある。鉄道事業者はそれをとっくに理解している。JRグループ以後の新型気動車はどれもパワフルで速い。室内も静かだ。実際に乗ってみると、電車にたいして遜色はない。

 「田舎の列車はのんびり走ってもいい」……その誤解はローカル鉄道を潰してしまう。「高校生やお年寄りが乗る列車は遅くてもいい」なんて発想は、鉄道を使わない施政者の思い上がりだ。交通弱者をバカにしている。ローカル線こそ新車の投入、線路の改良が必要だ。それができない鉄道路線は、残念ながら地域の人々に選ばれない。永遠に赤字を補てんし続け、税金の無駄遣いになり、誰も幸せになれない。本気で地域に鉄道を残したいなら、まずはスピードアップ。ローカル鉄道こそ列車を時速80キロメートルで走らせるべきだ。

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