検索
連載

SNSを上手に使うのは、難しい佐々木俊尚×松井博 グローバル化と幸福の怪しい関係(7)(2/4 ページ)

「SNS、うまく使えないなあ」と悩んでいる人も多いのでは。とんでもないことを書いているのを見て、おいおいと思ったことがあったり、逆に書いてしまって、ちょっとした騒ぎになったり。上手に使っている人は、まだ少ないのかもしれない。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

Google+が始まったとき


松井博さん

佐々木:Facebook批判でよく言われるのは、週末になれば家族サービスやおいしいモノ食べたといった内容ばかりで、面白くないと。リア充っぽいことばかり書かないでくれと。

松井:「いいね!」としか言いようがない内容ばかりですものね。「お前、本当は楽しくなかったろう?」とも書けないし(笑)。

佐々木:「夏休みに、家族で東京ディズニーランドへ行った。でも何時間も待たされて、疲れた」とはなかなか書けないですよね(笑)。

松井:「残念ですね!」というボタンもないですし。Facebookで思い出したのですが、米国人ってよせばいいのに、政治ネタを書く人がいるんですよ。しかもかなりの数で。

 例えばコロラド州で銃の射撃事件が起きましたが、「銃に反対なのか? 賛成なのか?」といった内容を書く。劇場の中の皆が銃を持っていたら、あいつは撃ち殺されていて、あんな事件は起きなかっただろうっていう派と、そんなトレーニングをちゃんと受けていない奴がみんな銃を持っていたらもっと大変だという派がいました。しかも、ものすごく真剣に議論をしているんですよ。

 日本では、このような議論が好きな人はあまりいません。もし誰かが書いていても、見なかったふりをしてしまう。

佐々木:確かに。そういう論争を考えた時に、それを楽しめるかどうかというのは、非常に大切ですね。なかなか日本は論争を楽しめないというか、必ずケンカになってしまう。ケンカになるのが分かっているので、とりあえず近寄らないようにしよう、といった感じになりますよね。

松井:米国人のやりとりを読んでいて、なかなか面白いんですよ。「なるほど。こういう考え方もあるのか」といった感じで。

佐々木:Google+が始まったときに、最初の数カ月間はGoogle+上で楽しい議論がありました。人数が少なくて、コアなネットユーザーしかいなかったので。しかしだんだん人が増えてくるとノイズが増えていって、そのノイズが嫌な人たちがどんどん退場していって、ノイズしか残らなくなった。そして最後は誰もいなくなる……。

松井:Myspaceがそうでしたね。

佐々木:ですね。Facebookもクローズにしていればいいんだけど、オープンでフィード購読もOKにしていると、誰でも書き込めてしまう。そうすると、何も省みずにわけの分からないことを書き込む人がたくさん現れる。そうするとだんだん、今までそこで議論に参加していた人が、「こういう人がいるんだったらいいや」と引いてしまう。それでも求心力を高めて議論の場にしていくにはどうしたらいいんだろうって、よく考えているんですが、いまのところいいアイデアがありません。かといっていつまでも、数百人のクローズドな仲間内の場だけで議論していても発展性がないですよね。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る