調査リポート
震災後の日本人、安全性重視から日常重視の生活に
日本に大きな被害をもたらしている東日本大震災とそれに伴う福島第一原発事故。時間が経つにつれて、日本人の意識も変化しているようだ。電通総研調べ。
日本に大きな被害をもたらしている東日本大震災とそれに伴う福島第一原発事故。消費者の意識はその後、どのように変化しているのだろうか。
電通総研では震災後、四半期ごとに生活者の意識を定点観測している。過去7回の調査のうち、常に支持率※が60%を超えていた意識は次の10の項目だった。
※「とてもそう思う」「そう思う」の合計値。
- 日常生活の中の「ささやかな幸せ」を大事にしたい(2012年9月調査77.2%)
- 大切なことをよく考え、お金や時間の使い方のメリハリをつけたい(同72.9%)
- これまでの常識や法律基準にとらわれず、安全性への対策をしたい(同70.8%)
- 無駄を見直し、節約我慢できること、買わずに済むことを考えたい(70.1%)
- 非日常的な気持ちになれる時間・場所を作っておきたい(同67.5%)
- 節電や節水の工夫を、前向きに家事や生活に取り入れていきたい(同66.9%)
- 家族の絆や身近な人々との絆をいままで以上に重要にしようと思う(同64.8%)
- 節電を意識しつつ、エネルギー生産・供給の体制などを知りたい(同63.0%)
- できるだけ本質的・実質的な情報を選んでいきたい(同62.3%)
- 「社会に貢献しよう」という姿勢が見える企業を応援したい(同60.5%)
支持率の推移を見ると、「日常生活の中の『ささやかな幸せ』を大事にしたい」が震災直後の2011年4月の65.2%から12.0ポイントアップしている一方、「これまでの常識や法律基準にとらわれず、安全性への対策をしたい」が2011年4月の79.4%から8.6ポイントダウンしている。
震災直後は安全性への意識が高まっていたが、時間が経つにつれて日常生活を大切にする気持ちが強くなっているようだ。
インターネットによる調査で、対象は20〜69歳の男女1200人。調査時期は2011年4月から2012年9月。
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