連載
改正著作権法に思う、文化成熟国家には著作権“活用”法を!:郷好文の“うふふ”マーケティング(2/4 ページ)
先日、筆者が運営するアートギャラリーが地上波TV番組に取り上げられた。放送を見逃した筆者が知人にDVDで焼いてもらったところ……。
規制のホンネは配信ビジネスの保護育成?
規制のウラにはホンネがある。ホンネは配信ビジネスの保護育成だろう。
われわれのTV接触時間はどんどん減り、PCやスマートフォン利用時間が増えている。TV制作現場もコストダウン、広告主も減少。焦りを感じるコンテンツ会社が有料情報サービスを拡張したい。そこで法律を整備して有料提供の波を大きくしたいのだ。
著作権者にお金が回るのはいい。配信ビジネスも成長してほしい。でも複製をやたらに制限するのは正しいのだろうか?
私は一枚だけCCCD(コピーコントロール付きCD)を持っている。このCDほど聴かないCDも他にない。オーディオコンポはもはやないので、デジタルオーディオプレーヤーに保存できないCDはリスニングが成立しない。昔は友人の家にレコードを持ちこんだものだが、今もそうしろっていうの?
2011年に亡くなった歌手のエイミー・ワインハウスを偲んで、私はYouTubeで1時間のコンサートがフル視聴できる動画を楽しんでいる。それがポツポツ消えていくのが寂しい。
マンチェスター・ユナイテッドに移籍したサッカーの香川真司選手の活躍も観たい。彼のからんだプレイだけを15分に編集した動画には狂喜した。だがそれもすぐに消えた。
いずれも違法。法律違反だ。でも楽しいのも事実。見やすく編集してアップロードした人びとには正直、処罰より敬意をはらいたい。
もともと複製とは人間の根本欲求である。複製が人間を進化させてきた。すべてが違法だと思えない。
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