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コラム

「震災がれき」騒動に乗じて、被災地に運び込まれている怪しいモノ窪田順生の時事日想(3/3 ページ)

岩手県の「震災がれき」の搬出が開始され、各地の自治体や市民の動きを伝えるニュースが増えてきた。この問題にメディアの目が向いている時というのは、似たような産業に携わっている人からすればありがたいことなのだ。なぜなら……。

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 例えば千葉県某所では、鉄鋼スラグを谷に棄てているうちに山のようになり、その上に土を被せた場所が存在している。つい最近、その山の近くをGoogle マップで上空から見たら、すぐ近くの港に大きな黒い山ができていた。行き場がなくなった鉄鋼スラグを「運搬費」などの名目で引き取り、不法投棄をしてしまう「逆有償取引」をやっていることが考えられる。ちなみに、その場所を借りているのは、地元の人間ならば誰もが知る暴力団関連企業だ。

 こういう話はメディアは報じない。なぜかというと、鉄鋼スラグというのは日本経済に貢献しているからだ。現在、国内で鉄鋼スラグは道路工事などに年間3800万トンも使われている。もしこの膨大な「産廃」の処理費を製鉄メーカーが負担をしなくてはいけないということになると、コストが跳ね上がる。このご時世にかなり好調な鉄鋼輸出にブレーキをかけてしまうというわけだ。

 巨大な産業の陰には、必ず何かを押しつけられる人がいる。

 原子力発電所が人口の少ない「僻地」に造られるのと、鉄鋼スラグが「被災地」に集められるという問題の根っこは、まるっきり同じだ。

 福島第一原発事故が起きる前、「原発が爆発するかも」なんて訴えていたメディアはない。本当にアブないことというのは、新聞やテレビなんかで取り上げられることなく、病のようにひっそりと進行していくということかもしれない。

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