文系か理系か、キャリア設計から見た大学選び(2/2 ページ)
文高理低と思われてきた「文理」格差ですが、『就職率60%時代を勝ち抜く大学2013』によれば、文系と理系では就活そのものの条件に加え、給与面でも逆転が起きているといいます。
理系が持つ優位性
私が個人的に好きでない言葉に「グローバル」があるのですが、それは「英語さえできればグローバル」みたいな歪んだ認知を感じるからです。しかし本当のグローバル化は当然ですが英語ができるかどうかではありません。結果として英語ができなくとも通訳を入れてでもビジネスが推進できれば確実に、それはグローバルな人材と言えるでしょう。商慣習や人種、文化を越え、グローバルな感覚で業務推進ができることこそグローバル人材だと思います。
これは正に理系の研究において、例えば論文も英語で書いたり、学会発表を英語で行ったり、もちろん日々のデータ検索でも「国境を超える」のが当たり前な理系環境の優越性が出ると思うのです。
はっきり言って「TOEICで800以上」とか「流ちょうな英語プレゼン」のような能力は乏しいかも知れません。しかしそんなことはグローバルとは別物です。しっかりとした研究活動で論理的思考力があれば、専門用語の単語を並べるだけでも十分意思疎通は可能です。
私が専門商社にいた時代、同僚の日本人社員は堂々と超日本語発音で毎日海外と電話で商談していました。帰国子女の英語とは全く別でしたが、彼は帰国子女と違って英語でも日本語でもドブ板営業ができるのです。こういう人材が本当のグローバル人材だと思います。
今やビジネスにおいてIT抜きには何も出来ません。私も業務でネットとメールがなかったら、ほとんど仕事にならないのです。ITとの親和性は理系の高いコンピテンシーです。情報学、情報理工学の専門でなくとも、これまたITについてはトレーニングすれば何とかなるという期待が企業側にはあり、そういった期待感を抱かせる理系はやはり有利といえるでしょう。
最後に『就職率60%時代を勝ち抜く大学』の「理系五ヶ条」でも触れていますが、理系学生には少なくとも数学センスがゼロの学生はいません。ゆとり教育と大学全入時代で大学生の知的水準が大きく下がったと言われています。アルファベットの練習を大学でするなど、学生の知的水準には企業の採用側もたいへん心配しているのが実情です。少なくとも数学的センスを持っているだけで、理系学生は論理的思考能力の基礎があるといえます。
大学選びはキャリアデザインの出発点にもなります。理系に進む学生が増えることを祈っています。(増沢隆太)
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