世界も、自分も、変えるシゴト? 青年海外協力隊を考える:世界一周サムライバックパッカープロジェクト(2/2 ページ)
国際協力機構が実施する海外ボランティア派遣制度の青年海外協力隊。世界旅行中に多くの青年海外協力隊員たちと語り合った太田さんは、「世界も、自分も、変えるシゴト。」というキャッチコピーに少し違和感を覚えるそうです。
青年海外協力隊員に叩きこまれるトラブル対策
ついこの間、ルーマニアにて不慮の事故で亡くなった日本人女性がいました。青年海外協力隊のボランティア隊員たちも、いつ同じようなことになるか分かりません。実際に派遣先で命を落とす人もいるようです。
しかし、青年海外協力隊の隊員はさまざまなトラブルを最大限回避するため、2年間の渡航前にミッチリと研修を受けます。研修施設内では「ここはすでに派遣先の途上国である」と研修スタッフに言われ、深夜に部屋のドアノブがガチャガチャとなり、カギを掛け忘れた人がいるとペナルティ(減点)になるとか。
その際にこう言うそうです。「ここが派遣先で、部屋のドアを開けっ放しにしていたなら、強盗かレイプが起こっていたかもしれない。しっかりと今から習慣付けなさい!」と。このような無数の教えを数十日間も叩き込まれるそうです。話を聞いたところ、JICAが青年海外協力隊員に伝えるリスクマネジメントやトラブル対策はかなりの情報量とノウハウ。これはぜひ、海外旅行者にも可能な範囲で公開してもらいたいところです。
ちなみに、青年海外協力隊の事前研修については、ブログ「青年海外協力隊派遣前訓練ブログ in NTC」で詳しくレポートされているのでお勧めです。
ただ、バッチリ研修を受けても、それでも派遣先でトラブルに遭遇する人は必ずといっていいほどいるらしいです。任地でのミッションはもちろんありますが、隊員のみなさんには日本で待っている家族がいることを忘れず。命を最優先していただきたいものです。
10月1日には、多くの学生が内定式を迎えたことでしょう。人生の新たな旅立ちです。
そして同じ10月1日。僕の姉が青年海外協力隊員として中米に発ちました。
昔から、「南米最貧国のボリビアで子どもたちのために働きたい」と語っていた謎の栄養士である姉は、南米でなく、中米ではありますが、現地の人たちのために2年間、栄養士として任務に向き合うそうだ。
青年海外協力隊に応募する前は、人口500人で平均年齢68歳の小さな島の病院で務めていたほど僻地志向の姉(ちなみに住人の3割は名字がアベさんらしい)。
青年海外協力隊が抱えるさまざまなメリットもデメリットも知りながら、それでも彼女は「行くこと」を決断しました。弟としてはそれに対する応援と、無事に帰ってきてくれることを祈るばかりです。
姉だけでなく、多くの協力隊員が順次、任地へと派遣されていきます。みなさん、ちゃんと無事に帰ってきて、「ただいま」って言ってくださいね。僕たち家族は、「おかえりなさい」を元気なあなたに言える日を、今からずっと待っています。
以上、これから旅立つ隊員のみなさんと、姉へ。
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