コラム
なぜ鉄道映画が注目されているのか――『旅の贈りもの』制作者インタビュー(前編):杉山淳一の時事日想(8/9 ページ)
数年前からの鉄道趣味が盛り上がり、鉄道をテーマとした映画が増えている。なぜ鉄道映画が注目されているのか。映画『旅の贈りもの 明日へ』の制作を手がけた、竹山昌利氏に話を聞いた。
竹山:次は、JR北海道からJR九州へとつなぐ話をやりたい。いまJRが抱えている“垣根”を超えた鉄道の旅を。
杉山:JRは分割民営化されている。それを1つにつないでいくという感じでしょうか。震災以降、日本を1つに、というスローガンをよく見かけます。会社は分割されているけれど、現場の鉄道マンの気持ちは1つ……みたいな。
竹山:JR九州は九州の島の中しか走らせられない。JR西日本も自社エリアだけ。そこを他のJR各社さんに協力していただいて、日本列島を縦断する旅を描きたいですね。
杉山:すごい構想です。
竹山:でも、何の車両を使おうとかは考えてないんですけども。
杉山:あ、やっぱり車両があってから物語を作るんですね(笑)。
竹山:そうそう。そうですよ。
杉山:『旅の贈りもの』シリーズは、そういう作り方をする映画ですね。作品にメッセージを乗せるために、ハコ(車両)を先に決める。
竹山::そうでないと、鉄道ファンの興味を引けない。EF58じゃなくて、次の世代の古い電気機関車で。線路って場所によって通れる車両の重さが決まっているそうなので、自ずから走るルートが決まってしまうと思うんです。運転士も走行できる区間が決まっているというから、これもまた困難があるんですけども。
杉山:でも、客車や機関車が、地域や人をつなぐバトンになりますね。
竹山:そう。そんな「客車の旅」の良さも描けたらいいと思っています。
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