コラム
商品は“夢”を与えなければならない(2/2 ページ)
人は、商品が実現してくれるかもしれない「理想」(to be)を夢見て購入するのであり、「現実」(as is)を提示されてもワクワクできないものです。
ちなみに、衣服の展示用に用いられるマネキン(人形)の大手、吉忠マネキン(株)では過去に、60代シニアの体型を忠実に再現したマネキンを製作したことがあったそうです。
これは、おなかがせり出し、全体に小太りな典型的な「シニア体型」にも似合うファッションを展示する上で、最適なマネキンのはずです。
ところが、このマネキンは、消費者にはそっぽを向かれてしまい、失敗に終わりました。ありのままの「現実の自分」を提示されたくはないということだったのでしょう。
人間心理はこのように複雑なものです。現実の自分と理想の自分との間で揺れ動いている。従って、ターゲット顧客の心を動かすクリエイティブ、あるいはメッセージ開発に当たっては、人間心理を深く洞察しなければならないのです。(松尾順)
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