サービスの“可視化”で顧客に選ばれよう(3/3 ページ)
サービスには「目に見えない」「利用してみないと分からない」という特徴があります。そのために不安や不満を感じることが多いのではないでしょうか? そこで、「目に見えないサービスを見せる」にはどうすればいいかを考えてみました。
4.サービスの裏側をあえて見せる
サービスにはお客さまに見えている部分の裏側に「見せないように隠している部分」が存在します。それをあえて見せることで差別化をしているケースが増えてきました。よくあるのが、料理店で厨房での料理の様子を見えるようにするというものです。厨房からの音・炎・匂いが、料理への期待を高め、料理を待つ時間自体を楽しめるように演出してくれています。
このように、普段見えない部分が見えることでお客さまに安心して頂いたり、楽しんでいただけるような演出をするというのはサービスを差別化する上で非常に効果的だと思います。
最近では、自動車のディーラーで自分のクルマの整備風景を見せたり、スイーツ店の待ち行列ができる店頭部分をガラス張りにして製造工程を見て楽しんでもらうなど、サービスの裏側を見せる取り組みが増えてきています。
また、機器の保守会社では、機器トラブルが起きたお客さまに、担当エンジニアの現状をWEBで公開しています。現在位置や何をしているのかを公開することで、「なぜ自分が待たされているのか?」「いつまで待てばいいのか?」を見せて、トラブルが発生して焦っているお客さまに安心して待っていただくといった取り組みをされている先進的な企業もあります。
サービスの裏側を見せるのは勇気がいりますが、魅力的な見せ方ができれば大きな差別化になるかもしれません。
サービスを見せてみよう!
これまで見てきたように、サービスは「目に見えない」「受けてみないと分からない」という特徴があります。だからこそサービスを見せることで、サービスを受けたい気になってもらったり、サービスを安心して利用していただいたり、さらには満足感を高める効果も期待できます。このように、「サービスが見えること」は、それ自体がサービスの差別化のひとつになるんですね。
しかしながら一方で、「サービスを見せる」のは大変チャレンジングな面もあります。これまではお客さまから見えなかった部分や、お客さまと接点がなかったプロセスをお客さまから見えるようにするとなれば、見られるスタッフ側も「サービスを魅せる」「プロセスで魅せる」というサービスマインドの強化が必要になってきます。また、サービスの仕組みやプロセスが組織として統制が取れていないと、見せることが逆効果にもなりかねません。
そこでまずは、組織全体で「サービスやCSの本質の理解」をした上で「サービス品質の向上」や「サービス設計」をしっかりと行うことが成功へのカギになりそうですね。いずれにしても、サービスをどう見せるかについては、自社サービスのコンセプトとお客さまの事前期待の両面を意識して工夫することが基点になるのだと思います。そんな視点でサービスを見せることに挑戦してみていただいて、少しでも成果につなげていただけるとうれしいです。(松井拓己)
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