なぜ尖閣諸島の防衛が重要なのか:藤田正美の時事日想(2/2 ページ)
日本が実効支配する尖閣諸島。中国が領有権を主張しているが、尖閣諸島を守ることにどのような意味があるのか。改めて、考えてみたい。
もちろんこれは太平洋だけの話ではない。よくご承知のように南シナ海での領土紛争はあまりにも中国の強引さが目立っている。これに対抗してなおかつ中国とあまり関係を悪化させないようにするには、両側が断崖絶壁の稜線を伝って登頂するのに似ている。間違えば、何千メートルの滑落は免れない。
日本はようやくアフリカ各国との連携の強化に動き出したが、中国と比べれば周回遅れどころではない。官僚も政治家もアフリカに注目しようという人はほとんどいなかった(あの「疑惑のデパート」と呼ばれた人はやりたかったのかもしれない)。
つまり経済力がじりじりと落ちている日本の周りで何が起きているのか、そこを注目しておかないと、ある日、煮え湯を飲まされても対抗手段がないということになりかねない。
かつて東アジアでは、日本が大日本帝国を次々に拡張した。もちろんこれは「防衛戦争」なのである。防衛するためには防衛線を領土の向こう側に設ける必要がある。日本にとっては朝鮮半島と中国の東北部である。そしてそれがいったんできるとその向こうに防衛線が欲しくなる。なぜなら敵から攻められたときに、時間の余裕が欲しいからである。
このことで考えて置かなければならないのは、中国も同じように防衛線を拡大しようとしているはずだということである。それが中国の資源を含む安全保障を守る要だからだ。
そのことを理解してなおかつ2030年代には原発をゼロにするという目標を立てるのか。日本はこれまで培ってきた原発技術や技術者をどうするのか。正念場の議論をまだ我々はしていない。
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