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コラム

日本外交に戦略はあるか?藤田正美の時事日想(2/2 ページ)

中国で開かれている共産党第18回党大会。5年に1度の指導部の交代を決める重要な大会だ。この大会に向けて権力闘争が活発だった時期に、日本は尖閣諸島を国有化したが、それがもたらす影響について民主党政権に「読み」はあったのだろうか。

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 これを読むと、思い出されるのが鳩山由紀夫首相が言った「東アジア共同体」だ。キッシンジャー博士の言う「国内政治体制が共存できるものであること」という条件をまったく満たすことができないのがこの「東アジア共同体」である。日本と中国は価値観も違えば政治体制も違う。日本は自由市場経済だが中国は国家主導市場経済だ。日本は民主主義体制だが中国は共産党支配の国だ。そして何よりも日本は防衛以外に武力を行使しないことを決めた国だが中国はいざとなれば武力を行使することを厭わない国だ。

 そういう中で、国力が衰退しつつある日本は、自国の安全保障を考えていかなければならない。そして日本の安全保障は米国を除いて考えることはできない。日米防衛協力ガイドラインの見直しを日本側から提起するために長島昭久防衛副大臣が訪米したのは当然の成り行きだろう。

 それにしても日本の周辺が何かときな臭い時に、解散の時期をめぐって内向きの議論ばかり繰り返していることに危機感を覚える。野田首相は、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉への参加問題も、やや唐突に自公との対立軸にすべくマニフェストに入れると言い出した。

 これまでは世界第2位の経済力が支えとなっていた日本。しかし右肩下がりの日本はいまや漂流し始めているかのようだ。その危機感を共有してくれる政治家は誰だろうか。

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