有権者は何を期待して選挙に臨めばいいのか:藤田正美の時事日想(2/2 ページ)
11月16日に野田首相が衆議院を解散した。有権者はいったい何を期待してこの総選挙に臨むのか。もはや政治の変化は望むべくもないとすれば、何はともあれまず「ぶっ壊す」ことから始めねばならないということだろうか。
有権者は何を期待して選挙に臨めばいいのか
実際のところ、これは自民党に代わってもあまり具体的な政策は出てこないと思う。10年間で200兆円の「国土強靱化」などという構想は、およそ正気の沙汰とは思えない。まして安倍総裁が言うような「建設国債の日銀引き受け」というのは、下手をすれば超インフレへの道である。防災とか減災とか言えば、何でも通るようなこの雰囲気に乗じて、結局は昔の自民党のように「土建国家」に戻るというのなら、体質は何も変わっていないと言うべきではないだろうか。
まして憲法改正や集団的自衛権などは、大事な問題には違いないが、この日本経済の閉塞状況を打破することと何の関係もない。そのようなことで国民のエネルギーを無駄遣いするよりも、新しい産業、新しい雇用とは何なのかの議論をするほうがよほど喫緊の課題だと思う。
有権者はいったい何を期待してこの総選挙に臨むのか。もはや政治の変化は望むべくもないとすれば、何はともあれまず「ぶっ壊す」ことから始めねばならないということだろうか。
もう10年以上も前、小泉純一郎首相が登場したとき「古い自民党はぶっ壊す」と宣言したことで国民から拍手喝采を浴びた。そして小泉時代の5年余、日本の政治は躍動感にあふれていた。市場原理主義とか批判されたが、あのまま「小泉改革」を続けていた方が、日本社会はもう少しましになっていたかもしれない。
そしていま「ぶっ壊す」と言って登場しているのが、日本維新の会と石原前東京都知事である。彼らが合流して本当に実のある政策が打ち出せるのかどうかはまったく未知数だし、官僚組織を敵に回す分だけ、能力は削がれてしまうかもしれない。
二大政党制に向かうはずだった日本の政治。小選挙区に変えて、気づいてみれば少数政党の乱立だ。こうなったのもわれわれ有権者の選択だったのだろうが、日本の政治をどうしたらいいか、今こそ冷静に深く考えてみるときなのかもしれない。
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