マスコミの言う「政治不信」を真に受けてはいけない:窪田順生の時事日想(2/2 ページ)
かつてに比べると、大きく低下している投票率。特に若者の投票率が低くなっていることについて、マスコミは「政治不信が理由だ」と喧伝するが、それは正しいのだろうか。
Benesse教育情報サイトのオンライン投票では、幼い子どもを育てる保護者469人を対象に「新聞記事を子育てに活用していますか?」という質問でオンライン投票を実施した。その結果、「活用している」はわずか8.8%で、そもそも「購読していない」も30.8%に及んだ。そして、「活用している」と「ときどき活用している」を足すと37.0%で、子を持つ親世代でも「3人に1人」しか新聞を活用しようとしていないというわけだ。
かつて、受験に出るからだとかいう理由で、新聞を読むことをすすめるような親は珍しくなかった。「マンガばかり読んでないで新聞ぐらい読みなさい」なんて言われた30代も多いのではないか。
ところが、今はこれだ。ちなみに、20〜30代の投票率ががくんと落ちこんだ1996年というのはネットが一般にも普及してきた時期でもある。ネットメディアの台頭と、新聞・テレビの衰退が表裏一体にあることは今さら言うまでもない。事実、先の調査で「購読しない」と答えた人たちからは、こんな厳しい意見も寄せられている。
「テレビも新聞も不信感があるのでニュースはネットで済ましてしまう」
「ゴミになるだけなので、購読していない。内容も大したことないので」
わずかな期間ながらお世話になった業界がボロクソに叩かれているのは心が痛むが、そんな「不信感」はなんとなく分かる。例えば、朝日新聞が11月19日の社説でこう述べていた。
振り返れば、このところ異様な総選挙が続いた(中略)そんな「熱狂の政治」は、果たして人々の期待に応えることができただろうか。答えが否であることは、1年限りの首相交代を5度も繰り返してきた現状が、何よりも雄弁に物語っている
政権交代だなんだと大はしゃぎしてまわりをあおっていたくせに、風向きが悪くなると、そんな過去などなかったかのようにわけ知り顔で御託を並べる。世の中ではこれを「マッチポンプ」と呼ぶ。もしこういう人がオフィスにいたら、まず同僚たちから軽蔑される。というより、子どもに一番見せたくない「ズルい大人」の姿である。
若者の心が離れているのが、「政治」ではないとしたら、いったい何なのか。「不信感」は向けられているのはいったい誰なのか。
総選挙を振り返るお仕事も大変だろうが、少し落ち着いたらそういう振り返りもしてみてはどうだろう。
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