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コラム

解散報道に問題はなかったのか “はしょりすぎ”の罪相場英雄の時事日想(3/3 ページ)

党首討論の最中、野田首相が解散日程を提示するという一幕があった。その後の解散報道を伝えた主要メディアに、問題はなかったのだろうか。結論から言えば、“はしょりすぎ”の稚拙な速報が目立った。

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現場記者のプレッシャーは高まる一方

 「在京紙や在京キー局の報道記者は、仕事が増えて大変なんだ」――。

 過日、某大手紙のデスクと会食した際、こんな愚痴を聞いた。

 増大する仕事とは、先に触れた速報のことなのだ。朝夕刊の締め切りや定時ニュース向けの原稿書きのほか、各社は最近ネットニュースのコンテンツも拡充させているため、本記や雑観、一問一答のほかに速報をもこなしているのだ。

 「会見場で記者が一心不乱にパソコンのキーボードを叩いているのは、速報対応のため」(同)という側面もある。

 だが、待ってほしい。長年通信社の取材現場で速報を打ってきた人間としては、この状況は非常に危ういと映る。

 先の一件で、共同や時事がきちんと「前提条件」を盛り込んだのは、速報に慣れているからに他ならない。メディアが速報を打つと株式市場や外為市場が敏感に反応する。その背後には、巨額のカネが音を立てて動いているのだ。この怖さを知っているからこそ、通信社の速報で“はしょり”は絶対に許されない。私自身、先輩記者から嫌というほどこの点を教育された。

 翻って在京紙やテレビ各局がこうした訓練を受けているのか。一連の速報を読むにつけ、その痕跡はない。

 大手メディアは危うい速報を垂れ流すことなかれ。餅は餅屋。速報は通信社に任せるべきだ。

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