コラム
相撲鉄道ではなく、相模鉄道をどうする? 路線には「戸籍」と「通称」がある:杉山淳一の時事日想(4/4 ページ)
通称を持つ鉄道路線は多い。都心では乗換案内上の便宜を図るため、地方では観光振興のため、が主な理由だ。路線名そのものは真面目で無難な名前が望ましいが、通称・愛称は遊び心があっていい。
観光特急はないが、夏には車内でJAZZの生演奏を楽しめる「相鉄JAZZトレイン」を走らせるなど遊び心を持っているし、駅名には「星川」「鶴ヶ峰」「希望ヶ丘」「ゆめが丘」などと雰囲気の良い名前が多い。私のお気に入りはいずみの線の「緑園都市」駅で、ホームの両側にちょっとした庭園があり、高架駅だから展望広場となっている。
「相模鉄道」は老舗ブランドとして大切にしたい。ただし東京進出に当たり、相模鉄道を相撲鉄道と勘違いさせたくない。略称の「相鉄」は味気ない。ここは「湘南新宿ライン」と肩を並べるブランドがほしい。「サガミ新宿ライン」「サガミ東急ライン」と「相模」をカタカナにすると手っ取り早いけれど、サガミのカタカナは避妊具の商品名にも使われており、分かりやすいが好事家の目を引くと悔しい。そうかといってひらがなの「さがみ」だと小田急の特急の名前にあり、こちらも海老名を通過するからややこしくなる。緑園都市の緑にちなんだ「グリーンライン」では横浜市営地下鉄と重なる。
……というわけで、ここは話題性を集めるためにも公募による路線愛称募集をやるべきだろう。東京周辺の新線開業事案でもあり、相模鉄道の展開は気になるし、楽しみでもある。路線愛称公募が実現するかどうか分からないが、しばらくはいろいろな名前やシンボルマークなどを妄想して楽しもう。要らぬお節介かもしれないけれど。
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