石原慎太郎が公約に「カジノ」を入れないのは、なぜ?:窪田順生の時事日想(3/3 ページ)
「カジノを日本に」と訴えてきた石原慎太郎氏と橋下徹氏が、手を結んだ。当然、日本維新の会の公約に「カジノ」が入っているかと思ったが、その文言はなかった。おかしいなあ……と思って調べてみると、ある事情が浮かびあがった。それは……。
マスコミは政治の「裏」を報じない
日本のマスコミは静観しているが、フィリピンでは前大統領のスキャンダルということで、たとえるなら「ロッキード事件」ほどの注目を集めているとか。
この話がなぜ日本維新の会に関係あるのかと思うかもしれないが、大いにある。ユニバーサルの岡田和生会長は石原氏の後援者として有名だ。おまけに、ユニバーサルがフィリピンのカジノ用地を購入した際、実務で動いたのは「石原銀行」と呼ばれた新銀行東京の元執行役・丹治幹雄氏だ。
しかも、石原代表の三男・宏高氏はフィリピンのアキノ大統領のもとにホームステイもしていたほど親しく、フィリピン人脈は広い。ユニバーサル関係者が言う。
「フィリピンのカジノ公社の人間と、岡田さんをつないだのは宏高さんですよ」
日本のカジノ構想が現実になれば当然、カジノ運営経験のある日本企業に白羽の矢がたつ可能性は高い。となると、石原代表と海の向こうの疑惑が急に身近に感じられる。
ロイターの報道が事実かどうかは定かではないが、石原代表と橋下代表代行がリスクヘッジとして、カジノを引っ込めたのは容易に想像できる。
このような話はスキャンダルではない。政治はきれいごとだけではないのだから当然、自らの事業のために政治家を応援する人もいる。そういう現実が分かったうえで、政党や政策を選べばいい、と個人的には思うのだが、なぜかマスコミはこういう「裏」を国民に教えてくれない。誰と誰がくっついたとか、誰の主張がブレたとかをしつこく報じ、頼んでもいないのに勝手に「争点」を決めてしまう。
国民は、原発と消費税だけで票を投じるわけではない。幸い日本には「どのニュースも同じじゃねーか」と思ってしまうほど新聞もテレビも多い。「どの政党も同じじゃねーか」と国民が思わぬよう、たまには違う視点も提供してくれてもいいのではないか。
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