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コラム

窓ガラスの汚い鉄道は潰れる、かも杉山淳一の時事日想(3/5 ページ)

新たに新年を気持ちよく迎えるために「大掃除」は必要だ。「でも寒いし、面倒だな」という人の背中を押す話をする。私の乗り鉄経験を振り返ると、窓ガラスの汚い鉄道路線は消えるのだ。

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 車両清掃を外注する費用もないし、清掃に回す職員もいない。日立電鉄は、路面電車を除くと日本で初めてワンマン運転を実施した会社であった。ならば駅員や運転士、保線職員などが、ちょっとした空き時間に窓を拭いてくれてもよさそうだ。しかし鉄道マンとして、そこまでやるほどの情熱はすでになかったらしい。乗客が少ないわけではなく、私が乗った時間は通院のお年寄りが多かった。そんな乗客たちが景色に癒されるはずもなく、誰もが下を向いていた。まるで“護送車”のようだった。

 私が訪れた日の翌日、2003年10月16日に日立電鉄は沿線自治体に対し廃止検討を通知。自治体はじめ沿線利用者は存続のための活動を開始するも、2004年3月26日に国土交通省へ廃止届を提出した。予定通り2005年4月1日に廃止。

 日立といえば、新幹線車両を始めとして鉄道関連の信号施設なども手がける。鉄道発祥の国、英国に鉄道車両を供給する実績もある。日立電鉄を生かし、同社の新技術をテストする場としても良かったと思う。しかし、日立は鉄道事業そのものには失敗した。


運転台横で前方を撮影した。すりガラス越しのような景色

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