“不毛地帯”の日本で、なぜ黒ビールが売れたのか:仕事をしたら“黒ビール”が売れた(5/5 ページ)
「ビールは好きだけど、黒ビールは苦手」という人も多いのでは。しかし2012年は「黒ビール元年」と言っていいほど、売れに売れた。黒ビールの“不毛地帯”とも言える日本で、なぜ消費者に支持されたのか。アサヒビールのマーケティング担当者に話を聞いた。
20〜30代に売れている
土肥:ドライブラックはどんな人が購入されているのでしょうか。
室井:発売1カ月後のデータによると、20代が最も多く36%、次いで30代が32%でした。開発コンセプトは「若い世代に」ということでしたので、その層のハートをつかむことができたかなと思っています。また黒ビールといえばこれまではニッチな商品という印象があったかと思いますが、少しずつ日常に入ってきたのではないでしょうか。
土肥:とはいえ、ピルスナービールと比べると、まだまだですよね。市場を拡大するには、どういったことがポイントになると思われますか。
室井:従来の黒ビールはコクが強かったので、食事と一緒に楽しむ人が少なかった。二軒目のバーで黒ビールを楽しむ……といったスタイルから、家で晩ごはんを食べながら黒ビールを飲むといった形になれば、市場は拡大するのではないでしょうか。
土肥:ドライブラックはどういった食事に合うと思われますか?
室井:チーズやピザと一緒に、飲まれるのはいいかがでしょうか。あとはパスタなどもいいですね。
土肥:個人的な話で恐縮ですが、私はチーズが苦手(笑)。チーズ以外に合う食事はありますか?
室井:「カラ揚げやソーセージにも合う」といった声もありますね。また「枝豆にも合う」といった人もいました。この意見を聞いたときは、うれしかったですね。従来の黒ビールには「チョコレートやナッツ類が合う」といった声が多いんですよ。でもビールの定番ともいえる「枝豆」という人が増えていけば、それだけ食卓に食い込んでいく可能性が高くなるということですからね。
土肥:室井さんの奥さんはビールが苦手だったのに、ドライブラックを飲んでからはピールが飲めるようになりました。私もドライブラックを飲み続ければ、チーズを食べれるようになれますかね。
室井:そ、それは難しいかもしれません(苦笑)。
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