若者のクルマ離れ――ブリヂストンがスマホアプリで模索するものとは?(1/3 ページ)
ブリヂストンといえばタイヤメーカーだが、2010年から毎年1本のペースでスマホアプリを公開している。しかも、ドライブがテーマとはいえ、タイヤには一切触れていないのだ。
ブリヂストンでは、2010年から2012年までの3年間、スマートフォン向けアプリを使ったマーケティング施策「BRIDGESTONEアプリプロジェクト」を続けてきた。その間、プラットフォームやユーザーの動向もめまぐるしく変化している。
第1弾がドライブ情報を提供するiPadアプリ「DRIVE to…by BRIDGESTONE」、第2弾がm-floのVERBALさんとコラボしたスマートフォンアプリ「DRIVE DJ」、そして現在提供中なのがソーシャルネットワークサービスとも連携するiPhoneアプリ「Drive Link」だ。
いわゆる若者のクルマ離れが進む中、主力商品であるタイヤそのものを訴求するのではなく、「移動することの楽しさ」にフォーカスした取り組みを進めた同社。この3年間の取り組みをどのように評価しているのか? ブランド推進部 宣伝課の山本ひとみさんに聞いた。
――まずはBRIDGESTONEアプリプロジェクトについて教えてください。
山本: BRIDGESTONEアプリプロジェクトは、スマートデバイスを用いたプロジェクトとして2010年に発足し、毎年1つずつ、アプリやサービスを提供しています。
クルマ同様に若者のテレビ離れが進み、インターネットの利用時間が増えている中で、ユーザーとのコミュニケーションをどうやって図っていくべきか。新しいデバイスを使ったトライアルをやってみようと「ドライブの楽しさを伝えるコンテンツ」を提供しました。
1つめのiPadアプリ「DRIVE to…by BRIDGESTONE」はドライブガイドを紹介するものでした。iPadが発売され注目を集めていた時期でもあり、無料アプリとして総合2位(1万1711ダウンロード)を達成しています。
翌2011年はiPhoneをはじめとして、スマートフォンの利用率がうなぎ登りに上がってきた時期でした。iPadだけでは対象がいわゆるイノベーター層に限定されるのではないかと考え、第2弾の「DRIVE DJ」ではリーチをもっと拡げるためにスマホ(iPhone/Android)向けアプリにしました。
予想以上のダウンロード数を得たDRIVE DJですが、m-floのVERBALさんのファンだけでなく、さらに若い人や女性にも興味を持ってもらえるような、より柔らかいコミュニケーションを目指したのが第3弾の「Drive Link」※です。
――どのアプリもタイヤそのものを扱っていませんね。
山本: タイヤメーカーとしては「タイヤ」を打ち出したいところですし、実際に海外では、タイヤ販売店に誘導するようなアプリを提供しているようですが、それではストレート過ぎるのです。
タイヤという商材自体が、パンクしたり、すり減ったりして、交換の必要が生じて初めて意識するものですから、若年層向けアプリでいきなりタイヤを訴求しても響きません。そこで、よりユーザーに親しんでもらえるような「ドライブの楽しさ」を伝えることに重点を置きました。
DRIVE to…ではドライブそのものに注目したわけですが、DRIVE DJではドライブに欠かせない音楽をフックに、ドライブに直接興味のない人にも使ってもらおうと。Appストアの無料アプリとして総合3位、約11万ダウンロードを達成しています。
――DRIVE DJは、m-floのVERBALさんとのコラボですから、アプリユーザーがそのファンに限定される可能性もありました。社内に「もっと間口を拡げた方が良いのでは」といった声はなかったのですか?
山本: 主に年配社員からそういった声もあったと聞いています。でも、若年層がターゲットの企画ですから、「若者に人気があるんです!」と押し切りました(笑)。プロジェクト全体を通じてテレビを見なくなった若者にどうリーチするのかが大前提でしたし。
――確かにテレビで目にするブリヂストンのCMとは、まったくアプローチが異なりますね。しかしアプリ提供となると、開発やサポートはもちろん、アプリストアでのレビューへの対応など、従来のプロモーションと大きく異なってきます。
山本 DRIVE DJのリリース当初、「音楽再生中にアプリが落ちてしまう」「走行距離に応じて提供されるボーナストラックが消えてしまう」などのバグが頻発し、レビューでも批判されました。その反省から2012年のアプリではバグを最小限に抑えるべく、チェックを重ねました。
また、サポート面ではサイト上でのFAQを充実させておくことに注力しました。実際には、直接の問い合わせが数多く寄せられるといったことはありませんでした。
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