ジブリなしでも好調だった2012年のアニメビジネスを振り返る:アニメビジネスの今(4/4 ページ)
スタジオジブリ作品の公開がなかったにもかかわらず2012年の劇場アニメは好調、テレビアニメの制作分数も前年以上となる見込みだ。2012年最後の記事ということで、2012年のアニメビジネスを振り返ってみたい。
9月
日にち | 内容 |
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8日 | とっとりアニカルまつり2012開催 |
15日 | アニメ産業レポート発刊。アニメ産業の回復基調が鮮明に。 |
21日 | 第1回京都国際マンガ・アニメフェア(京まふ)開催。 |
24日 | 朝日新聞世論調査で、中国人が興味のある日本の文化や生活で漫画・アニメが27%と支持率トップに。 |
鳥取と京都でアニメ関連イベントがあったが、近年この種のイベントは増えつつある。京都国際マンガ・アニメフェアは外国人観光客にも人気の京都で行われることもあり、今後海外からの注目も集めそうな気配である。
10月
日にち | 内容 |
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− | 10月期テレビアニメスタート。『PSYCHO-PASS』『ロボティクス・ノーツ』『ジョジョの奇妙な冒険』『新世界より』『中二病でも恋がしたい』など。 |
1日 | 改正著作権法施行。 |
9日 | 創通決算発表。 |
28日 | 日本経済新聞に「アニメ産業を盛り上げよう」という社説が出る |
30日 | ディズニーがルーカスフイルムを40億5000万ドルで買収(『なぜルーカスフィルムを買収したのか、“放送事業者”としてのディズニー』) |
10月1日に施行された改正著作権法。違法ダウンロード罰則化で、2年以下の懲役または200万以下の罰金が課せられることになった。ある音楽メーカーによると、これによって一時的に違法音楽ダウンロードが激減したということだ。いろいろ論議を呼んだこの改正著作権だが、TPPへの加盟が検討されていることもあり、著作権法は強化される方向へと進みつつある。
11月
日にち | 内容 |
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2日 | 宮崎駿監督が文化勲章を受章。アニメ監督では初。 |
5日 | JASRACが過去30年間の著作権使用料を発表。ヱヴァンゲリヲンのBGMが4位に。 |
12日 | アニメ業界と他業種がコラボするための「アニメビジネス・パートナーズフォーラム」開催。 |
15日 | メルセデス・ベンツの新世代コンパクトカーのキャンペーン「NEXT A-Class」に合わせて、プロダクション I.Gがオリジナルアニメを制作 |
17日 | 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』公開。 |
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』が公開され、初週土日の興収11億3100万円とロケットダッシュを切った。前作の興収40億円を抜くのは確実だが、それ以後どこまで数字を伸ばせるか注目される。
12月
日にち | 内容 |
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13日 | スタジオジブリが2013年夏に宮崎駿監督の『風立ちぬ』と高畑勲監督の『かぐや姫の物語』を公開すると発表。 |
15日 | 『ONE PIECE FILM Z』公開。 |
18日 | 22歳の山本蒼美監督が『この男子、宇宙人と戦えます。』『この男子、人魚ひろいました。』でデビュー |
23日 | 巨人の星を原作とした『ライジングスター』がインドで放映開始 |
師走に入り、2013年夏公開のジブリ作品が発表された。それも、宮崎駿監督、高畑勲監督という超重量級ラインアップの同時公開である。これで来年の夏の楽しみが一段と増えた。
この記事が今年最後の連載となります。来年休み明けにまたお会いしたいと思います。良い年をお迎え下さい。
増田弘道(ますだ・ひろみち)
1954年生まれ。法政大学卒業後、音楽を始めとして、出版、アニメなど多岐に渡るコンテンツビジネスを経験。ビデオマーケット取締役、映画専門大学院大学専任教授、日本動画協会データベースワーキング座長。著書に『アニメビジネスがわかる』(NTT出版)、『もっとわかるアニメビジネス』(NTT出版)、『アニメ産業レポート』(編集・共同執筆、2009〜2011年、日本動画協会データーベースワーキング)などがある。
ブログ:「アニメビジネスがわかる」
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