炎上対策、おたくは大丈夫?:中村伊知哉のもういっぺんイってみな!(2/2 ページ)
日本は「炎上先進国」。そのノウハウを海外に教えてあげる、くらいの対応が求められている。「炎上データベース」を基に問題点を分析し、リスクマネジメントの指針となるような手引書の開発が必要だ。
そこで2012年2月、一般社団法人「ニューメディアリスク協会」(NRA)が設立された。炎上の防止策を研究し、ソーシャルメディアを企業が活用する際のリスクを低減するための手法を考えるためのものだ。私が理事長を務める。
企業、自治体、学校などのリスクマネジメントや広報の担当者などを中心に活動し、国会議員や総務省、経済産業省の方々にもオブザーバとして参加してもらっている。定期的な勉強会などを通じて、ソーシャルメディアを利用する上での注意点の啓蒙や伝達、風評被害の防止と事後対策についての意見交換などを行っている。
さらに、小グループに分かれた3つの分科会の活動を通して、Webメディアリスクを低減させるための情報などを提供している。「被害事例調査研究部会」では世の中で起こっている炎上を収集した「炎上データベース」を基に新しいメディアの特性を調査研究し、問題点分析を行っている。「未然防止啓蒙教育部会」ではWebメディアリスクを低減させるためのマネジメント手法について研修などを行っている。「対策ソリューション開発部会」では「Webメディアリスクマネジメントハンドブック」というリスクマネジメントの指針となるような手引書の開発を行っている。
最近、協会でも注目しているトピックは、海外で発生した炎上による日本企業への影響。尖閣諸島や竹島の問題により、中国、韓国でのナショナリズムが高まっており、ソーシャルメディアを通じて、デモ、不買運動、労働争議に発展するケースも発生してきている。こういった被害事例を調査、分析し、海外での日本企業のリスクマネジメントにも寄与したいと考えている。
安全で活発な情報社会を築く。運動は始まったばかりだ。遠く険しい道だが、行き止まりではあるまい。ただ、これはIT業界や政府が頑張るだけでは不可能。ネットのユーザーとともに切り開いていくことが前提となる。情報共有を広げていきたい。
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