「ソー活」は本当に効果があるのか――採用担当者の視点:サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(3/3 ページ)
FacebookなどのSNSを利用して人材を採用する「ソー活」を行う企業が増えています。目的は何か、本当に効果があるのか、普段の素行を見るために採用担当者がSNSチェックをするという噂は本当か……そのあたりの事情に迫ります。
「素行を見るためにSNSチェックする採用担当者」の嘘
こういう話をすると「素行を見るためにSNSをチェックする採用担当者がいるという話のことだろう」と考える人もいるでしょう。確かに、最近まことしやかにそういう話が流布し始めています。飲み会の写真や普段の言動をチェックして「応募者の素顔」を確認しているので、書き込みには要注意だとか。もちろん違法行為を誇示する人は論外ですが、飲み会で「ハジけている」写真を掲載しているからといって、それで即バツを付けるほど企業の採用担当者はバカではありません。彼らはもっと別の視点で、個人情報やソーシャルグラフを見ています。それは「可視化しにくいスキル」なのです。
例えば、職務経歴書などで求職者の能力はある程度把握できます。が、そこに書かれていないけれども、有している能力や経験は見えてきません。また、今どんなことに関心を持っているのか、そして、どのような視野を持っているのかは、短い面接などでは分かりません。SNSに書き込まれている日々のことや参加しているイベント、読んでいるコンテンツなどを確認することで、いままでの採用フローでは見えなかった「本当の素顔」が見えるかもしれないと注目しているのです。素行などは、付け足しの要素に過ぎません。
SNSを使った採用は、人と人とのつながりを利用することで、その人物の「確かさ」も担保しようと考えられています。が、転職や就職という「意外に重たい行動」では、その威力を発揮することは現状では難しい。ですが、そのツールがもたらしたもう一つの側面、つまり「自分自身を可視化する」という部分に光を当てると、今まで以上にその人の能力などをアセスメントできるようになった、ということになります。これは企業とってのメリットだけではありません。仕事を探している人にしてみれば、SNSによって今まで以上に自分の能力をきちんと見極めてもらえる可能性が出てきた、ということなのです。
能力があってもうまく伝えられなくて埋もれてしまっている人も、日々の気づきや勉強したこと関心などをソーシャルメディアで書き留めておくことで、それをみて「本人も上手く説明できない魅力」に気づいてもらえるかもしれない、という時代が幕明けそうな予感がします。……といいつつ、そのためには企業がもう少し階段を登る必要があるのですが、それはまた来週ということで。このテーマ、本連載には珍しく「続き物」とさせていただきます、次週もお楽しみに!
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