なぜ医薬品に「におわない」と書けるのか:仕事をしたら“スネ”が見えてきた(4/4 ページ)
寒い日が続くので、乾燥肌に悩まされている人も多いのでは。薬局には乾燥肌用の医薬品が並んでいるが、こうした商品はどのようにして開発されているのか。商品開発の裏側に迫った。
「売れない」と思われたくない
土肥:リペアクトは2012年の10月に発売されたわけですが、発売にあたって苦労されたことはありますか?
浜松:リペアクトには肌荒れなどの治療に使われる「ヘパリン類似物質」が含まれています。実は前年の2011年に、他社からヘパリン類似物質を使った商品がいくつか発売されました。ただ、あまり売れていないようでした。その状況が1年前にあったので、量販店サイドが「このヘパリン類似物質は売れない」と思い込んでいるかもしれない。「今度の商品もどうせ売れないだろう」と言われるのは悔しいので、その思い込みをどうすれば消すことができるのか。そんなことを考えていました。
土肥:実際、どんなことをされたんですか?
浜松:ヘパリン類似物質はいいモノなので、他社は「何にでも効きますよ」といった売り方をされていました。しかし「何にでも効く」という売り方をされると、お客さんは「何に使えばいいの?」とモヤモヤしてしまうのではないでしょうか。調査を行ったところ、お客さんは「どこに使えばいいのか」「どんな効果があるのか」といったことが、“分かっていない”ことが分かりました。
リペアクトはどこに使えばいいのですか? と聞かれると「スネです」と答える。どんな症状に効果があるのですか? と聞かれると「粉ふき肌に効きます」と答える。このように、量販店にはできるだけ分かりやすく説明して回りました。
土肥:量販店に商品を置いてもらうことって、大変ですね。
浜松:冬モノのスキンケア市場って、厳しいんですよ。なぜなら医薬品、医薬部外品、化粧品が並んでいるから。お客さんにとっては医薬品であろうが、部外品であろうが、化粧品であろうが、あまり関係ありませんよね。要は、症状を治してくれればいい。キレイになればいいわけですから。
土肥:医薬品を売るって大変ですね。また商品化にあたっては、“長い歴史”も欠かせないことが分かりました。本日はどうもありがとうございました。
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