調査リポート
ソーシャルゲームの市場規模、規制の影響で成長鈍化見込み
矢野経済研究所のソーシャルゲーム市場に関する調査結果によると、2011年度の市場規模は前年度比104.6%増の2824億円と大幅増。しかし、2012年度はコンプガチャ規制などの影響で成長が鈍化する見込みだ。
矢野経済研究所は1月10日、ソーシャルゲーム市場に関する調査結果を発表。それによると、2011年度の市場規模は前年度比104.6%増の2824億円と大きく伸びたことが分かった。
※この調査ではソーシャルゲームについて、「SNS上で提供され、SNSのユーザーが主にブラウザ上でゲームを介してコミュニケーションをとれるオンラインゲーム」と定義。市場規模は、国内ユーザーが利用対価として支払った金額の合計で、広告収入は含まない。
同研究所では「『ガチャ』と呼ばれる有料の電子くじの要素を取り入れたゲームタイトルが急増。この結果、ゲームのギャンブル性が高まり、ユーザー間の競い合いが過熱、よりヘビーユーザー化している。ユーザーの拡大、およびヘビーユーザーによる課金収入が市場の急成長を下支えしている」とコメントしている。
しかし2012年5月、消費者庁はコンプガチャを景品表示法で禁じる「絵合わせ」に抵触している可能性があると指摘し、その後違法認定。SNS事業者各社はコンプガチャを順次廃止した。だが、それ以降も未成年者への高額請求問題などが報じられている。
こうしたことから市場の成長は鈍化、矢野経済研究所では2012年度の市場規模を前年度比37%増の3870億円、2013年度は同10%増の4256億円と予測している。「2013年以降は国内大手SNS事業者の海外展開が本格化するとともに、スマートフォン向けゲームタイトルにおけるマネタイズの成否が今後の市場発展の大きな焦点となる」(矢野経済研究所)。
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