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コラム

観光列車と新幹線で景気回復? 2013年の鉄道業界杉山淳一の時事日想(2/4 ページ)

新年のスタートにあたり、今年の鉄道業界の動向を展望してみたい。新型車両の登場、新幹線の高速化、新たな相互直通運転の開始、被災路線復旧など、今年も鉄道の話題が豊富な1年になりそうだ。今回は新型車両を中心に紹介する。

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新幹線と航空機の競争が需要創出

 新型車両のトピックとしてもうひとつ。東海道新幹線の新型「N700A」が2月8日から営業運転を開始する。こちらはN700系のマイナーチェンジで、外観の大きな違いはロゴだけだ。形式名もN700系1000番代(JR東海)4000番代(JR西日本)となり、「N700A」は愛称にとどまる。ただし、ブレーキの改良、低速走行装置による定時運転や遅れ回復能力の向上、客室内の質感向上に取り組んでいる。そして、これらの設備は順次、既存のN700系にも改造されていくという。そのときにロゴも「N700A」に変えたほうが話題になると思うが、どうなるだろう。

 新幹線は鉄道ファンだけではなく、ビジネス客の間でも話題になりやすい。新幹線も航空機も、新型車両や新型機材によってサービスが向上するたびに、シェアの数字が動く。航空業界も敏感で、ANAは「スーパーこまち」のデビューと同じ3月16日に、東京―秋田線に最新鋭機ボーイング787型を投入する。航空機と新幹線の競争は、顧客の奪い合いだけではなく「新しい乗り物で旅したい」という需要の拡大にもつながるだろう。


E6系「スーパーこまち」(出典:JR東日本)

 新幹線に関連して、錦川(にしきがわ)鉄道は3月10日に、山陽新幹線新岩国駅に隣接する「御庄駅」を「清流新岩国駅」へ改称する。御庄駅は国鉄の岩日線時代から存在していた駅だ。付近に新幹線の新岩国駅ができたとき、なぜか乗換駅とはされず、駅名も変更されなかった。「山陽本線の岩国駅に対する新駅という位置付けが分かりにくくなる」という理由だったらしい。しかし第3セクターの錦川鉄道としては、新幹線のアクセスをアピールするメリットも大切だ。やっと改名されたか、という思いがある。岩国錦帯橋空港が開業し、ANAが東京路線を就航したことも「岩国」と付く駅名がほしいという動機になったと思われる。

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