観光列車と新幹線で景気回復? 2013年の鉄道業界:杉山淳一の時事日想(4/4 ページ)
新年のスタートにあたり、今年の鉄道業界の動向を展望してみたい。新型車両の登場、新幹線の高速化、新たな相互直通運転の開始、被災路線復旧など、今年も鉄道の話題が豊富な1年になりそうだ。今回は新型車両を中心に紹介する。
大河ドラマロケ地巡りで東武鉄道にもメリットが
続いて「大河ドラマの舞台・会津」がある。昨年の大河ドラマ『平清盛』では、関西私鉄がゆかりの地や博物館のチケットとセットにしたフリーきっぷを出したり、JR西日本も呉線経由の快速「瀬戸内マリンビュー」を飾り付け「清盛マリンビュー」として宮島口まで延長運転していた。会津といえばJR東日本がSL列車「ばんえつ物語」を運行しているし、会津鉄道は観光列車「AIZUマウントエクスプレス」を走らせている。
今年はまだドラマ連動の列車情報などが発表されていない。しかしロケ地巡りは大きな観光需要となるから、今後は何らかの動きがあるだろう。特に注目したい鉄道会社は東武鉄道だ。特急スペーシアで日光や鬼怒川温泉に行くと、野岩鉄道に乗り入れた「AIZUマウントエクスプレス」に乗車して会津若松に行ける。その東武鉄道は3月16日のダイヤ改正で、特急スペーシアの東京スカイツリー駅停車を増やす。スカイツリーと大河ドラマを結んだ旅について、何も仕掛けないはずがない。
JTBが5つ目に掲げる国内旅行トピックスは「ロングトレイル」だ。自然や町並みを楽しみつつ、山や街道を歩く旅。昨年に亡くなった俳優の地井武男さんはテレビ番組で散歩の楽しさを紹介していた。鉄道会社の駅からウオークイベントも人気だ。「ロングトレイル」はその長距離版ともいえる。日経トレンディ誌の「2013年ヒット予測商品&サービス」にも「ロングトレイル」が挙げられていた。
「歩く旅だから鉄道は関係ない」とは言えない。歩く旅はクルマに乗らない旅でもある。つまり、自宅から出発する以外は、公共交通機関を利用する旅である。駅からウオークイベントに「ロングトレイル」を組み合わせたイベントが鉄道各社から提案されるかもしれない。
2013年は豪華クルーズトレインやロケ地巡り、健康志向など、さまざまな鉄道旅が流行りそうだ。旅に出て元気になろう。旅で経済を活性化させて日本を元気にしよう。
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