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コラム

桜宮高校の生徒が、自分たちで記者会見を仕掛けた理由窪田順生の時事日想(2/4 ページ)

桜宮高校バスケ部の主将が自殺した問題で、同じ学校の生徒が会見を開いた。この会見を見た教育評論家の尾木直樹氏は、背後で糸をひく人間の存在をにおわした。生徒たちは自分たちでやったことと否定するが、本当に“黒幕”はいなかったのか。

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黙ってみている“こすいオトナ”たち

 彼女の言葉に偽りはないだろう。生徒たち自身が市政記者クラブに会見を申し込んだのだということも分かっている。ただ、だからといって“黒幕”がいないのかというと話は別だ。尾木ママが示唆した“こすいオトナ”はハタから見て分かるような方法で子どもを煽らない。じゃあどうするのかというと、「黙って見ている」のだ。

 例えば1998年5月、スイス・ジュネーブの国連会議場で、日本からやって来た高校生たちが涙ながらに意見を訴えたことがある。学校の制服を着させられるのがつらい、それを拒否したら学校に行けなくなった、日本では子どもの権利が侵害されている、とかなんとか。

 桜宮高校の生徒たちと同じで、彼らも誰に命じられることもなく、自らの意志と足で国連本部までやって来て、意見を述べさせてれくれと直談判した。

 出国前にはわざわざ京都弁護士会で、メディアを集めて記者会見までやっている。誰に仕組まれたわけでもなく、自分たちの意志で申し込み、「しっかり意見を言ってきます」と鼻息荒く訴えた。

 こういう子どもたちを見て、全国紙は「子どもたちが欧州本部で制服問題を訴える」なんてちょっといい話風に報じたが、これにもやはりちゃあんと“黒幕”がいた。

 『週刊文春』が調べたところ、行動力バツグンの子どもたちの背後には、国際的なNGO(非政府組織)やら子どもの権利を掲げる市民団体がいて、有形無形のサポートをしていた。

 なんのことはない。制服に反発する子どもの背中をそっと押しながら、自分たちの政治活動に利用していた小賢しいオトナがいたというわけだ。

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