桜宮高校の生徒が、自分たちで記者会見を仕掛けた理由:窪田順生の時事日想(4/4 ページ)
桜宮高校バスケ部の主将が自殺した問題で、同じ学校の生徒が会見を開いた。この会見を見た教育評論家の尾木直樹氏は、背後で糸をひく人間の存在をにおわした。生徒たちは自分たちでやったことと否定するが、本当に“黒幕”はいなかったのか。
小賢しいオトナは何もしていない
教育者として最もやってはいけないことだが、この小賢しいオトナは何もしていない。「タネ」をまいて事態が進むのをただ、黙って見ていただけだ。
桜宮高校生徒たちの周りにいるオトナもこれと同じことをした可能性が高い。
確かに学校は会見のことは知らなかった。生徒をけしかけるようなこともしていない。しかし、桜宮高校の生徒の一部がTwitterで橋下市長に対して「殺すぞ」などとつぶやいているのは知っていた。こういう怒りに満ちた子どもがどういう行動を起こすのか、周りにいるオトナは予想がついたはずだ。
そこで彼らがやったのは「黙って見ている」ということだった。所有権を奪われた土地で、園児に芋を植えさせたあの保育園のように。
会見に出た生徒のひとりはこんなことを言った。
「市長から大切な学校を侮辱され、多くの生徒が傷ついた。私たちの先生を奪わないで」
先の制服問題を訴えた女子高生に、国連の委員たちはこんな言葉をかけたという。
「われわれの国では、制服があっても貧しくて買えない子どもがいる。それに比べたら、あなた方は格段に幸せじゃないか」
文化も背景もよく分からないよその国の人間でもオトナならば、道に迷う子どもにこれぐらいの言葉はかけられる。
君たちが「傷づいた」というのも分かるが、まずは仲間の命が奪われたことや、大切な我が子を青あざだらけの遺体で迎えなくてはいけなかった両親の「傷」を思うべきじゃないのか――。こんな言葉を、なぜこの子たちの周りにいるオトナたちはかけてやらないのか。
一昨年に起きた大津のいじめ事件も、のらりくらりとやってまだ最終報告書すら出ていない。この高校も入試中止ぐらいでは何も変わらない。
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