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コラム

快速電車が消える――そこに鉄道会社の“野望”が見えてきた杉山淳一の時事日想(3/6 ページ)

今年も3月半ばに多くの鉄道路線でダイヤ改正が実施される。新幹線の高速化や新型車両の投入など、にぎやかな話題が報道される。しかしそれだけではなく、鉄道会社の事業戦略の一端が見え隠れしているかもしれない。

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快速運転をやめるメリット

 京葉線で快速列車が通過する駅は、新習志野・二俣新町・市川塩浜・葛西臨海公園・潮見・越中島だ。JR東日本は2011年度の駅の乗車人員を公開しており、これらの駅の乗車人員を調べると、新習志野は1万2532人、葛西臨海公園が1万1644人と1万人を超えているほかは1万人以下。越中島はもっとも少なくて4137人だ。東京へ向かう通勤路線として、乗車人員1万人は、都心部に近いにもかかわらず少ないほうである。ちなみに、快速停車駅の検見川浜は1万5220人。海浜幕張は5万3772人となっている。


京葉線路線図(出典:Google Maps)。赤が京葉線 オレンジは武蔵野線

京葉線各駅の平均乗車人員。JR東日本が公表した2011年度の数値を元に作成

 乗車人数が少ない駅に、快速運転をやめてまで停車する意味があるのだろうか。どちらかというと、快速電車利用客の所要時間増のデメリットのほうが目立つ。おそらく、それはJR東日本も承知である。でも、快速運転を取りやめる。そのメリットは何か。

 実は、快速運転をやめて大きな効果を得た路線がほかにある。東急田園都市線である。東急田園都市線は東急が主導して開発した多摩田園都市と都心部の渋谷を結ぶ路線だ。渋谷からは東京メトロ半蔵門線に乗り入れる。


東急田園都市線(出典:Google Maps)。本文に登場する駅と主要駅をピンクで示した

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